【東京都・太陽光発電義務化】2025年、義務化へ。影響はどうなる?

以前、はじめて家を建てるでも、【太陽光発電義務化】東京都が条例制定へ。施主・メーカーへの影響は? という記事をご紹介していますが、いよいよ義務化が決定しそうです。東京都は、今年12月予定の都議会に必要な条例改正案を提出。2025年4月からの実施を目指します。では実際に、新しく家を建てる私たちにとって、どんな影響が出るのでしょうか。


戸建住宅の太陽光パネル設置義務を負うのは個人ではなく住宅メーカー

東京都は、2030年までに温室効果ガス排出量を、2000年比半減を目指しています。家庭部門における二酸化炭素排出量は、全体の3割を占めており、対策の重要性が議論されてきました。

今回の条例改正で太陽光パネルの設置が義務付けられるのは以下の通りです。注目すべき点は、設置が義務付けられる対象者です。

  • ビルなどの大規模建物(延床面積2,000㎡以上)→ 義務を負うのは建築主
  • 戸建て住宅などの中小規模住宅 → 義務を負うのは住宅メーカー(※)
    ※年間で延床面積2万㎡以上の建物を供給するハウスメーカー等の事業者(50社程度の見込み)

つまり、施主側には義務はなく、あくまでハウスメーカー等の事業者が義務を負うのです。さらにいえば、対象事業者以外の建築会社に依頼した場合、条例対象外となるわけです。

しかしながら、二酸化炭素排出量の削減は、私たち一人ひとりが担うべき責務であると考えますし、将来的には中小事業者にも対象が拡大することを目指すようですので、「他人事」と思わず、注文住宅を建てる際は、太陽光パネル義務化を頭に入れておきましょう。

ちなみに、屋根の面積が一定規模未満の住宅や、日照などの立地条件、地域の建築制限等により設置できない場合などは、対象事業者からの申し出により、設置基準算定の棟数から除外可能となります。


デメリットは、住宅価格に跳ね返ってくること

では、義務化によってどんな影響が考えられるでしょうか。それは、住宅本体価格が高くなることです。太陽光発電システムがプラスされるわけですから、普通に考えれば価格はアップするでしょう。

とはいえ、現在でも太陽光発電システムを「標準装備」にしているハウスメーカーもありますし、設備機器メーカーの努力等によって、価格も以前と比べ抑えられつつあります。

また、設備のリース等により、後年に使用料等を支払う第三者モデルなど、初期設置費用を抑える選択肢も少なくありません。注文住宅検討の際は、それらサービスを営業担当者に尋ねてみるのもいいでしょう。


メリットは、太陽光発電により収支がプラスになる可能性があること

もちろんメリットもあります。それは、経済的メリットです。

東京都環境局の太陽光発電設置「解体新書」・よくあるご質問によると、4kWの太陽光パネルを設置した場合、初期費用98万円が10年(現行の補助金を活用した場合6年)程度で回収可能となっています。また、30年間の支出と収入を比較すると、最大159万円のメリットが得られる計算が示されています。

参考:東京都環境局・太陽光発電設置「解体新書」

そのほかにも、災害・停電時のバックアップ電源としても活用でき、暮らしに安心感をもたらすというメリットもあるでしょう。


太陽光発電は、エネルギー価格上昇対策にもなる

いかがでしたか? まとめとしては、

  • 注文住宅の場合、施主に設置義務はない(メーカーに義務あり)
  • いずれ中小事業者も義務化される方向
  • よって今後は、東京に家を建てる場合、太陽光発電システムを搭載する前提で計画を進めたほうがよさそう

現在、電気・ガソリンなどのエネルギー価格が急上昇しています。ロシア・ウクライナ問題など、地政学リスクによるエネルギー高騰が今後も起こらない保証はどこにもありません。地球温暖化対策の観点からだけでなく、エネルギーの自給自足は、東京に限らず不可欠なものとして検討すべきではないでしょうか。