「ハウスメーカーはCMをやっているから高く、工務店は人が少ないから安い」
「工務店は間取りや使用部材が何でもOKの自由設計で、ハウスメーカーは規格住宅」
“ハウスメーカーと工務店”などのワードでネット検索すると、このように書かれた情報が溢れ出てきます。それをみれば誰でも「これが常識」と思うでしょうし、あなたもそうお考えではありませんか?
でも実は、この情報は“正しい理解ではない”ことも多いのです。ここでご紹介する「8つの視点」で比較検討してみると、間違った認識もあることが分かり、ハウスメーカー・工務店それぞれのデメリット・メリットが正しく理解できるようになります。そしてその結果、あなたは“公平な視点で、あなた自身に最適なパートナーが決められる”ようになるのです。
なぜ、そんな理解力が得られるのでしょうか。それは、このノウハウ記事は、私たち「はじめて家を建てる」編集部が、実際に家を建てた方へのインタビュー、ならびにハウスメーカーでの勤務経験、実体験、さらには工務店への聞き取り調査・取材情報を整理し、リアルな裏事情も加味しながら、あくまでも公平な分析を行ったうえで書かれているからです。
ステップ①では、ハウスメーカーと工務店の価格差の真実を軸に、それぞれのメリット・デメリットを「8つの独自視点」で詳しく解説します。家づくりの基礎中の基礎ですが、とても重要な知識ですので、じっくりと最後までお読みください。
これを知るか知らないかでは、最適なパートナー選びはもちろん、これからの家づくりに大きな差が生まれます。「8つの独自視点」を読み終え、理解したときには、後悔しないパートナー選びができるようになり、家づくりは必ず成功します。
この表は、ハウスメーカーと工務店がつくる家の価格がどのような要素で成り立っているかを簡単に表現したものです。
どんな業界(世界)であっても、「人、モノ、金」といいますが、家も同じで、「人、モノ、金」が積み重なって家になります。
この表で着目した「人のチカラ」の3つと、「モノ」の5つ、合計8つの観点(視点)でハウスメーカーと工務店が、それぞれどのような対応をしてくれるかを紐解くと、そこから生まれる価格差の真実とメリット・デメリット(得意・不得意)が見えてきます。
あなたのこだわりや憧れ、予算、将来のことなども念頭に置きながら、自分はどちらを選ぶべきかを考えてください。
目次
視点1「サポート力」:ハウスメーカーと工務店では対応範囲が違う
家づくりでは、建物計画や施工以外にも、資金計画、親の説得、近隣トラブルの回避・対応、多種多様な高度な知識による判断、想定外の問題への対処など、さまざまな問題が持ち上がりします。
施工だけを住宅会社に委ね、あとはすべて自分自身で対処・解決していくことも不可能ではありませんが、高度な知識や正しい判断を行うことは必要不可欠ですから、自分でこなしていくことは困難と言わざるを得ません。自分を過信して無理に進めると、あとで後悔したり、大きな失敗となる可能性が高くなることは否めないでしょう。
そこで頼りになるのがパートナーによるサポート力です。当編集部の調査では、ほとんどのユーザーが、それら課題や問題は、住宅会社の担当者にお任せしていました。
では、ハウスメーカーと工務店とでは、どんな違いがあるのでしょうか。それぞれの「サポート力」を確認してみましょう。
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視点2「企画力」:暮らし易さや快適性を研究しているか、経験値か
ハウスメーカーも工務店も、家づくりのプロであることには変わりありません。プロですから、どんな家を実現したいかを伝えると、住宅会社は、設計図、資金計画、ライフプラン(この家でどんな暮らしが手にできるか)などを提案してくれます。それは「○○様邸新築計画」というタイトルの企画書です。
この企画書(企画力)が、いかにあなたの希望にぴったりと合っているかが、パートナー選定の最重要項目だと言えます。当編集部の調査では、工務店ではなくハウスメーカーを選んだ多くの人が、この企画力の差を挙げています。
では、ハウスメーカーと工務店の、それぞれの「企画力」を確認してみましょう。
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視点3「施工力」:工場品質を取るか、大工棟梁の腕に期待をするか
「ハウスメーカーの家は、ハウスメーカーの社内の人たちで建てられている」。そう思っている人は少なくないようです。でもそれは大きな勘違い。実は、ハウスメーカーの家を建てているのは、地元の工務店なのです。
それなら、ハウスメーカー、工務店のどちらに頼んでも完成する家は同じになるのかというと、それはそうではありません。ハウスメーカーの家は、メーカー独自の工法のため、構造用の材料から外装、設備など、そのほとんどがメーカーから支給されます。一方、工務店は、構造用の木材は地元の材木屋から、設備は設備メーカーから購入します。
このように、使用する材料に違いがありますから、当然、完成する家は異なるのです。 では、「品質と工期」の観点から、ハウスメーカーと工務店の、それぞれの「施工力」を確認してみましょう。
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視点4「安全性」:『家はシェルター』。躯体性能が価格差に
いま異常気象や想定外の災害を目の当たりにすることが増えています。大きな地震や水害など、自然災害に見舞われたとき、家の役割は何なのか。これから新しい家づくりを通じて幸せな暮らしを築いていく中で、「安全性」が重要項目となることは言うまでもありません。
家はいわば命を守る「シェルター」のようなもの。当編集部では、ハウスメーカーと工務店の価格差を生み出す最大のポイントは、ここにあると考えています。
では、ハウスメーカーと工務店の、それぞれの「安全性」を確認してみましょう。
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視点5「間取りの自由度」:どちらも自由設計。こだわるなら工務店
間取りは、快適で暮らしやすい家に仕上げるために、最も重要な要素と言えます。それぞれの家族構成やライフスタイルに合ったこだわりを反映するために、「間取りの自由度」はパートナー選びにおける大切な視点です。
では、ハウスメーカーと工務店の、それぞれの「間取りの自由度」を確認してみましょう。
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視点6「デザイン」:自らのこだわりやセンスを冷静に見極めること
毎日を快適に、そして心地よく暮らし続けていくためには、家の「デザイン」も大切な要素です。外観はもちろんのこと、毎日、目にするインテリアデザインも、暮らしの豊かさを左右します。
中でもカラーや柄が主張するのが、「システムキッチン」、「洗面化粧台」、「建具」、「造作家具」、「フローリング」。(壁紙(クロス)も重要な構成要素ですが、これはハウスメーカーでも工務店でも差がありませんので、ここでは省きます)
上記に掲げたそれぞれの設備を、ハウスメーカーと工務店が、どのように調達するかで、家のデザインやトータルコーディネートに影響を与えます。ここのチョイスを間違うと、完成した時の満足度に大きな差が生まれてしまいます。
では、ハウスメーカーと工務店の、それぞれの「デザイン」を確認してみましょう。
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視点7「宣伝広告費」:広告宣伝費が高いから、という嘘を見破る
住宅会社は、あなたに自分たちの存在を知っていただくために、さまざまな広告宣伝活動を行います。そのことにより、私たちはさまざまな情報を手にするわけですが、その一方で、次のような解釈を行う人が少なくありません。
「ハウスメーカーはCMなどによって広告宣伝費が高いので、その分、価格に乗せられている」
「その点、工務店は安くなる」
ネット上でも、そのように解説している記事が多いようですが、これは大きな誤解。この間違った認識を改めていただくために、広告宣伝費の仕組みを紐解きたいと思います。
ハウスメーカーも工務店も、何らかの広告宣伝は行います。工務店であっても新聞折り込みチラシを撒きますし、時にはキャンペーンを打ったりもします。ここで考えて欲しいのが、“売上に対する広告宣伝費”です。
では、ハウスメーカーと工務店の、それぞれの「広告宣伝費」を確認してみましょう。
→ 視点7「宣伝広告費」:広告宣伝費が高いから、という嘘を見破る
視点8「信頼・保証」:建てたら終わりではないことを頭に置くこと
最後の視点として、パートナーとなる住宅会社の信頼性・保証体制についてお伝えしたいと思います。一般的に考えて、ハウスメーカーは大企業ですから倒産リスクが少なく、これから何十年も住み続ける我が家を、将来にわたってサポートしてくれると思えることができます。一方、会社規模の小さな工務店は倒産リスクが高く、後継者がおらずに一代で廃業してしまう懸念もあり、将来のメンテナンスに不安を感じてしまうという方も少なくないでしょう。
しかし、倒産や破綻リスクは、大手企業だからと言って絶対にないとは言い切れません。パートナーの予期せぬ事業障害は、言ってしまえば家を建てた人にはどうすることもできないこと。信頼・保証については、各社制度や財務状況の確認など、今できる最善を尽くすことが大切です。
では、ハウスメーカーと工務店の、それぞれの「信頼・保証」を確認してみましょう。
→ 視点8「信頼・保証」:建てたら終わりではないことを頭に置くこと
独自の8つの視点のまとめ:自分の考えを軸に最適なパートナーを選ぶ
ここまで見てきたとおり、ハウスメーカー、工務店にはそれぞれのメリットとデメリットが存在します。そしてそれがコストにも反映されていることがお分かりいただけたことと思います。
ステップ①「ハウスメーカーと工務店のどっちがいいの?」…価格差の真実を紐解きます!における独自の8つの視点のまとめを、改めて以下に記します。