「ハウスメーカーと工務店、どっちがいいの?価格差の真実を紐解きます」の視点2を詳しく解説します。
ハウスメーカーも工務店も、家づくりのプロであることには変わりありません。プロですから、どんな家を実現したいかを伝えると、住宅会社は、設計図、資金計画、ライフプラン(この家でどんな暮らしが手にできるか)などを提案してくれます。それは「○○様邸新築計画」というタイトルの企画書です。
この企画書(企画力)が、いかにあなたの希望にぴったりと合っているかが、パートナー選定の最重要項目だと言えます。当編集部の調査では、工務店ではなくハウスメーカーを選んだ多くの人が、この企画力の差を挙げています。
では、ハウスメーカーと工務店の、それぞれの「企画力」を確認してみましょう。
ハウスメーカー
ハウスメーカーには、市場調査を行うマーケティング部門や、そこで得られた情報をもとに、企画住宅を生み出す商品開発部門があります。
マーケティング部門
主な調査内容…社会情勢、エネルギー問題、地震などの災害、人口減少(空き家問題)、経済活動、景気、所得、生活者の態様、未婚率(パラサイト問題)、高齢化(終の住処)、少子化(子育ての変化・家族構成の変化)など
商品開発部門
マーケティング部門の調査結果や提言を踏まえて、その時代にそった企画商品を生み出すのがその役割です。
企画商品とは、
たとえば
“ほどよい距離感とコミュニケーションを生み出す二世帯住宅”
“子育てや家事効率を応援してくれる家”
など、その時代のニーズに合ったさまざまな間取りや動線工夫がなされた“提案商品”のことです。
企画商品の事例
平屋建て | 少子化時代の一次取得者層に向けた家 |
平屋建て | 長い老後のための終の住処としての家 |
二世帯住宅 | 経済的理由などによる未婚の娘息子と同居する、パラサイト2.5世帯住宅 |
女性目線の家 | 共働きや働く女性を意識した商品 |
ZEH | エネルギー事情・省エネ対策に最新の技術を投入した商品 |
賃貸併用住宅 | 将来の年金対策のために賃貸収入を得られる収入型住宅 |
工務店
コンサルティング会社のアドバイスや工務店向けセミナーなどから最新の情報・トレンドを掴んでいる工務店もありますが、すべての工務店がそうであるとは言えません。
工務店にもさまざまなノウハウがあり、快適な家づくり・企画提案に生かしていますが、しかしながら、それらノウハウの多くはこれまでの経験値でしかなく、専門的に分析・研究されたものではありません。よって慎重な選択が必要です。
ただし、地域に密着した経験値から、地域の特性(主に気候)に則した提案は得意で、特に多雪地域、寒冷地では力を発揮します。
選び方のポイント
それぞれの企画力の差から導き出せるのは、
- 「家づくりへのアイデアや知識があまりなく、全体的に企画提案(提案商品)を受けたい」ならハウスメーカー
- 「自身で要望(企画)がまとめられる」なら工務店
ということです。
価格差の真実
ハウスメーカーは、本社や研究機関に専門の部署があるため、その分、高くなります。
価格への影響度合い
明確な運営コストは分かりませんが、大手ハウスメーカーは研究機関を持っています。
まとめ
この「企画力」の差を十分に理解すれば、自分の中に“価格の納得感や妥当性”の軸を持つことができます。家づくりのバックボーンにしっかりとコストをかけていることに価値を見出すのか、そこはさほど必要性を感じないのか。じっくりと検討しましょう。