「ハウスメーカーと工務店、どっちがいいの?価格差の真実を紐解きます」の視点4を詳しく解説します。
いま異常気象や想定外の災害を目の当たりにすることが増えています。大きな地震や水害など、自然災害に見舞われたとき、家の役割は何なのか。これから新しい家づくりを通じて幸せな暮らしを築いていく中で、「安全性」が重要項目となることは言うまでもありません。
家はいわば命を守る「シェルター」のようなもの。当編集部では、ハウスメーカーと工務店の価格差を生み出す最大のポイントは、ここにあると考えています。
では、ハウスメーカーと工務店の、それぞれの「安全性」を確認してみましょう。
ハウスメーカー
安全性を高めるための研究・開発を重ねるハウスメーカー。
自然災害後のニュースを見ると、ハウスメーカーの家がポツンと残っている映像をよく見かけます。ハウスメーカー各社の発表では、地震や水害における全半壊や倒壊の被害はほぼないようです。その理由は、安全性を高めるための研究・開発を常に重ねているから。多くの研究費・開発費をしっかりと投入し、最新の家づくりへとフィードバックしているのです。
ハウスメーカーでは「実物大の耐震実験」を実施し、その安全性を実証しています。また、1邸ごとに本部の設計チェックが実施されており、設計上のミスを無くす仕組みが導入されています。
現在、ハウスメーカー、工務店に限らず、住宅性能表示制度における耐震等級を謳う住宅会社がほとんどです。特に最高等級である「耐震等級3」を掲げることが多く、それは私たちに安心感を与えてくれます。 しかし、ハウスメーカー各社は、その性能を超える安全性能を研究し、家づくりに活かしています。これら研究・実験結果や性能はカタログやホームページで情報開示され、“約束”されています。だからシェルターの役割を果たす、頑丈な家が建つのです。
ハウスメーカー各社の耐震実験
工務店
国が定める耐震基準には達しているが、想定を超える災害には耐えきれない場合がある。
工務店には、ハウスメーカーのような投資は不可能です、そこで、木造軸組工法(在来工法)というこれまで日本で広く普及してきた工法をメインとした家づくりを行っています。もちろん耐震基準には達していますが、想定を超えるような地震や風・水災害には耐えきれない場合も少なくありません。
工務店は、開示される情報がとても少なく、ほとんどの場合、口頭で行われます。ですから自らしっかりと情報を取りに行くことが肝要です。工務店の利点は、使用する部材や工法に幅があること。価格は高くなりますが、あなたが「檜の4寸角で家を建てて欲しい」と言えば対応してくれますし、費用を抑えるために「杉の3寸角」にすることもできます。
「安全性の高い住まいにして欲しい」と、柱をもっと太くしたり、使用する金具を増やしたりするオーダーにも対応してくれるでしょう。けれど、それは本来の工務店の守備範囲外、つまり特別対応になります。仕入れコストも高く、施工も慣れていないことからハウスメーカーを超える膨大なコストがかかってしまうということを理解しておきましょう。
選び方のポイント
それぞれの安全性の差から導き出せるのは、
- 「建築地の気象や地形などを考慮して、“安全にいくら投資するか”を検討する
ということです。
価格差の真実
この安全性の差は、価格差にダイレクトに影響を与えます。ハウスメーカーは、研究・実験にコストをかけている分、高くなります。また、構造材が決まっている(工務店のように柱の太さを自由に変えられない)ため、ハウスメーカーのほうが高く(=安くできない)なります。
価格への影響度合い
総額2000万円の家の場合の構造材のコストは概ね、
- ハウスメーカー:500万円(ここの費用は圧縮できない)
- 工務店:200~400万円(予算に応じて構造材を変えられる)
まとめ
- 少々、費用が掛かっても「家は家族を守り続けるシェルター」と考えるならハウスメーカー。
- 「費用はとにかく抑えたい」と考えるなら工務店。
この見極めがパートナー選び、そして家づくりの大きな分岐点となるでしょう。