【土地情報】コロナ禍による土地トレンドの変化をプロに聞く

コロナ禍によって、数多くの職場でテレワークが導入され、たとえコロナ禍が収束したとしても、テレワークはそのまま続けるという企業も増えつつあるようです。テレワークが定着すれば、地方や都市郊外に“移住”ニーズも拡大するのではないかという予測もあります。そこで今回は、神奈川県で不動産業を営むS社長に、土地のプロとしてのご意見・アドバイス(※)を伺いました。
※首都圏エリアでの現在のトレンド情報となります。


東京都心部在住の方が、小田原や相模原などの郊外物件に注目している

編集部:新政権が誕生し、菅総理は東京一極集中を是正すると表明されています。コロナ禍によるテレワーク導入の影響なのか、実際に2020年7月~8月は、東京都から他地域への転出が流入を上回っているようです。S社長が事業をされる中で、こういった地方や都市郊外の土地ニーズは高まっているとお考えでしょうか?

S社長:その流れは確実に起こっていると思います。私の会社では神奈川県の物件を扱うことが多いのですが、東京、しかも新宿などの中心部にお住まいの方から、小田原や相模原と言った物件への問い合わせが増えています。これは間違いなく、テレワークの影響だと思います。

編集部:具体的に、どのあたりの土地が人気を集めているのでしょうか?

S社長:あくまでも私の会社での話なので、そこは注意して聞いて欲しいのですが、始発駅である厚木、相模原などの問い合わせが多いですね。先ほどテレワークの影響と言いましたが、それ以外にも時差出勤の奨励や出勤は週に2度ほどに限定している企業など、通勤というものの概念が変わりつつありますよね? すると「会社に行くのに便利だから」という理由で、都心に近い場所に住む必要性も薄れてくるわけです。


広い家、のどかな環境、そして意外と便利。家族みんながストレスフリーに

編集部:生活するうえで、仕事は切っても切れないものではありますが、それがテレワークによって、“まったく新しい職住接近”が生まれつつあるわけですね。

S社長:先日、物件をご紹介したお客様は、現在、川崎に住んでおられるのですが、小田原に引っ越したいと。すごく便利な場所にお住まいなのに、なぜわざわざ小田原なのですか?と聞いたところ、「小田原なら東京に電車1本で行けるわけだから便利だし、それならわざわざ会社の近くに住む必要はあまりない。それに子どもたちにとって広々とした家やのどかな環境で暮らせるのはプラスだから」とおっしゃっていました。

編集部:都心には都心の良さはありますが、どうしても土地価格は高くなりますし、広さも予算の都合上、期待できない。特にお子様がおられる方は、今後、地方や都市郊外に対するニーズが高くなりそうです。

S社長:ビジネスをしている立場からすると、コロナ禍が過ぎることで一定の揺り戻しはあると思います。でも、単純に考えて、狭くて高い土地に暮らすより、広くて予算内に収まる場所に新居を構えるほうが、経済的にも精神的にもいいのではないでしょうか。


会社ありきではなく、家族を最優先するという暮らし方へ

編集部:働く場所、つまり収入の確保を、どこでどのように行うかが、やはりキーポイントですね。

S社長:お客様の中には、「うちの会社も、来年度からは住宅手当が出なくなる。ならば郊外に家を持とうと考えた」という方もおられました。企業も生き残りをかけて、福利厚生の見直しに着手しているところも珍しくないようです。家賃の高い都心に暮らすより、身の丈に合った住宅ローンを組んでマイホームを持とうという発想は、増えていく気がします。その方は転職も考えているとおっしゃっていました。

編集部:もう会社ありき、ではなくなってきているのでしょうね。家族との暮らしが最優先という考え方が広がっていくような気がします。

S社長:あと、お客様からよく聞く話として、「テレワークで日中、家にいると、これまで気づかなかった隣の生活音や街の騒音に悩まされる」というものがあります。特にマンション暮らしの方に多いようで、都市郊外の土地を求め、戸建てを建てたいというニーズは増えそうです。

編集部:今回は、貴重なご意見ありがとうございました。