注文住宅を建てるにあたっては、当然ながら土地が必要になってきます。「建てたい家のイメージが固まっても、それを実現できる土地がないと話が進まない」と考える人も多いことでしょう。では、住宅会社(パートナー)を決める前に、土地探しを行ったほうがいいのでしょうか? その逆で、住宅会社を決めてから土地探しをしたほうがいいのでしょうか?
「どっちでも同じことでしょう?」とお考えのあなた、実はそれが大きく違うのです。この順番を間違えたばかりに、「思っていた家が建てられない」ということになるどころか、何千万円という土地購入費用を「無駄にしてしまった」という後悔しても仕切れない、結果として家づくりを諦めなければならない事態にも陥ってしまいかねないのです。
ズバリ!「土地を探す前に、住宅会社を決める(家を企画する)」が成功の秘訣です!
では、なぜ土地探しの前に住宅会社の決定が先なのか。以下に、
「土地を購入してから、住宅会社を決めて家の企画をはじめる場合」と
「住宅会社を決めて家の計画をある程度固めてから、土地探しをする場合」の
2つのケースを記します。それぞれ、どのように進んでいくか、見比べてみましょう。
土地を購入してから、住宅会社を決めて家の企画をはじめる場合
あなたが家を建てるのに用意できる予算を4000万円とします。そこであなたは、「まず土地探しね!」とばかりに、インターネットの不動産サイトを検索し、資料請求をしたり、不動産屋さんへ相談に行ったりすることでしょう。
漠然と土地探しがスタート
でも、この時点であなたは、「漠然と土地探し」を始めているはずです。広さや予算、交通の利便性、お子さまの学区、陽当たり、街の環境、スーパーや病院などのさまざまな施設…。きっとこんな観点で土地探しをすると思います。
いい土地があって購入を決意!
そして何社か不動産会社を回るうちに、とても親切な営業担当者と出会います。親身になって土地の相談に乗ってくれ、アドバイスもくれます。「こんな土地、なかなか出ないですよ」との言葉に、「そこまで言ってくれるなら、この土地でいいかな」と多少、妥協しながらも土地購入を決めます。仮に土地の値段が2300万円だったとしましょう。
いよいよ理想の家づくり、しかし…
さて、土地が購入できました。さあ、お楽しみの家づくりです。「あの土地にどんな家を建てようか、うふふ」と思いを巡らせ始めます。
ところが! ハウスメーカーや工務店から企画提案をもらってビックリ! 家にかけられる予算は1700万円しかないため、家族で考えていた35坪の間取りが30坪に抑えられていたり、太陽光発電は予算オーバーで実現不可能だったり…。ここで初めて“希望した通りの家が建てられない”ということに気づくのです。
さらに、ここで家を建てるためには欠かせない知識、「建ぺい率」「容積率」の壁にもぶつかります。「建ぺい率」「容積率」について、あまり知識がない方は、以下の記事をお読みください。
不動産会社は、土地を売ることが主な仕事で、家づくりのことはあまり知識がありませんし、そもそも、自分の仕事ではない家づくりまで踏み込んで提案なんてしてくれません。「建ぺい率」「容積率」の記事にもあるように、「えっ!そんなに狭い家しか建てられないの?」と気づいても後の祭り。知らずに契約したあなたが悪いのです。
知らなきゃ大変なことになるかも!「建ぺい率」について
エンピツのような家しか建てられない?「容積率」について
いまさら土地を変えることは出来ず…
よって、今さら土地を売却し、再購入することは出来ず、30坪の家をいかに安く建てるかの検討が始まります。先ほども述べましたが、不動産会社は、家づくりの専門家ではありません。だから土地以外の“家の間取り”や“設備”、“建築費がどれくらいになるか”などのトータル提案は出来ませんし、しないのです。
結果として、“土地探しから始めると不満が残る家づくりになってしまう”のです。
住宅会社を決めて家の計画をある程度固めてから、土地探しをする場合
同じく、あなたが家を建てるのに用意できる予算を4000万円とします。土地探しの前に、まず、どんな家を建てたいかを家族で話し合うことにします。
家族の夢や要望をまとめた資料をつくる
当サイトの「はじめの第一歩」ページで掲載しているヒアリングシートなどを活用し、自分たちがどんな家をつくりたいかの棚卸をします。たとえば必要な間取りや広さ、予算が合えば太陽光発電を搭載したいなど、です。
夢のマイホームの概算を出してもらう
棚卸ができたら要望に優先順位をつけ、住宅会社に相談します。自分たちの希望を伝え、その家を実現するにはどれくらいの総費用が必要なのか、概算予算を出してもらうのです。この時点で、たとえば35坪で太陽光発電を搭載したら2000万円~2200万円かかるということが分かります。
提携する不動産会社で土地探し
それを理解したうえで、不動産会社ではなく住宅会社に1800万円~2000万円以内の予算で土地探しをお願いします。住宅会社には自社で不動産部門を持っている会社もありますし、持っていなくてもほとんどの場合、提携する不動産会社があり、土地情報を共有しています。また、住宅会社と不動産会社がタイアップして宅地分譲を行うこともあります。その場合は、計画段階のいち早い情報を教えてもらえます。
家づくりのプロとしての判断をしてもらう
気に入った土地があれば、そこに希望する家の計画を当てはめてみてもらいます。そして土地代も含めた総予算を出して検証していきます。住宅会社は家づくりのプロですから、不動産会社とは違い、家づくりまで踏み込んだプランニングをきちんとしてくれます。たとえば、
- その土地の建ぺい率、容積率によってどんな家が建つのか。
- 結果として、その土地がいいのか悪いのかの判断。
- 斜線規制やセットバックなど、法規制に関する検討・検証。
- インフラ関係→水道や下水の宅内引き込みの有無。
- 土地の高低差→土留めや擁壁が必要か。
- 地盤の強度(近隣実績から判断)。
- プラスαの提案→南側道路は価格が高い、北側道路は安いけど工夫すれば快適に暮らせるなど。
納得の土地で、納得の家が完成
これら細部にわたるアドバイスを価格とともに総合的に判断していきます。気に入った土地にどんな家が建てられるのか、そしてどんな生活が送れるのかを理解・イメージしたうえで、土地を決定します。
まとめ
いかがですか。比較検討してみて、なぜ「土地を探す前に、住宅会社を決める(家を企画する)」べきなのかがよく理解できたことと思います。住宅会社に相談すれば総予算の中で、希望する家と土地条件のバランスを見ながら計画を進めてくれます。よって予算オーバーや「こんなはずじゃなかった」と後悔することも無くなります。
繰り返しになりますが、「いい土地だ!」といって飛びつかないこと。「なかなか出ない土地ですよ」の言葉に惑わされないこと。住宅会社(パートナー)の担当者とじっくりと相談しながら、焦らず、自分たちにとって最適の土地を見つけ、家づくりを進めてください。