【南欧風住宅】外観・インテリアでやるべきこと、やってはいけないこと

南欧住宅とは、イタリアやフランス南部、スペイン、ポルトガルなどの地中海や大西洋に面した温暖な地に建つ家こと。日本でも、とても人気のあるスタイルです。本場の家をそっくりそのまま建てることが理想だと思いますが、予算などの問題もあり、なかなかそうはいきません。そこで素敵な南欧風の住宅に仕上げるために、外観や内装デザインにおいて「やるべきこと」と「やってはいけないこと」をまとめてみました。ぜひ参考にして、自分らしい住まいを手にしてください。


切妻屋根に軒は浅く、瓦は曲線が美しい赤・茶・黄褐色系の洋瓦を

三井ホーム切妻屋根
フレンチモダンの家 三井ホーム「chou chou」

屋根は「切妻屋根」にしましょう。これが「寄棟屋根」や「片流れ屋根」だと雰囲気がまったく違ったものになります。家の形状によっては屋根が切妻、つまり三角屋根にならないこともありますが、できる限り、住まいの正面は三角形になるようにしましょう。

「軒は短く」仕上げましょう。和風住宅とは逆の発想です。軒が深いと南欧スタイルとは程遠くなってしまいます。

スパニッシュ瓦
スパニッシュ瓦

瓦は素焼きの洋瓦が基本です。「スパニッシュ瓦」「S瓦」といった曲線のある瓦を使用しましょう。また色も大切。赤・茶・黄褐色系の色を選ぶことが南欧風住宅の基本となります。あえて少し色の違う瓦をランダムに葺くのもおススメです。


外壁は、落ち着いた色の漆喰で仕上げる。煉瓦タイルには気を付けて!

漆喰
漆喰

壁は「漆喰の塗り壁」が基本となります。白やクリーム色の漆喰を選びましょう。深みのあるイエローや薄いピンク色を選ぶ方もおられますから好みが分かれるところですが、南欧の家のほとんどが、白やクリーム色といった落ち着きがある色です。

ソレダメポイント!

南欧風に憧れて「壁の一部に煉瓦タイルを貼ろう」と思う方もおられることでしょう。でもちょっと待ってください! 南欧の家では、そんなスタイルはあり得ません。南欧の家は、基本的に煉瓦や石などを用いて下地(骨格)を作り、その上に漆喰を塗って完成させます。長い月日が経つと外壁の漆喰の一部が剥がれ、下地の煉瓦が覗くようになるのです。つまり、「壁の上から煉瓦が見える状態には絶対にならない」ということ。おしゃれだと思って壁の上から煉瓦タイルを貼るなんて、ちょっと建築を知る人から見ればナンセンス。自らわが家をチープにしてしまわないように気を付けましょう。


「上げ下げ窓」や「すべり出し窓」、「折りたたみ窓」を採用する

三井ホーム・上げ下げ窓
上げ下げ窓(三井ホーム「chou chou」)

南欧スタイルに限らず、海外の家のような雰囲気に仕上げたいとき、窓はとても重要な要素となります。採用するのは「上げ下げ窓」や「すべり出し窓」。庭に出るための窓には、「折りたたみ窓」を用いるといいでしょう。詳しくは【窓の種類】家を建てる際に絶対頭に入れておきたい窓の基礎の基礎を参照ください。

あとは窓の位置のバランス。間取りなどによって制約は生まれますのでマストではありませんが、できればシンメトリーを意識して配置することをおススメします。

ソレダメポイント!
「引き違い窓」を採用しないこと。それをしてしまうと、一気に南欧スタイルは崩れてしまいます。特に家の正面には用いないようにしましょう。


素材や装飾などにこだわることで、よりおしゃれな印象に

ドアはできれば「木製ドア」を。窓も「木製窓枠」が理想です。でも、メンテナンスやコスト、法規制の関係上、使用出来ない場合は、木調のドア、サッシを選びましょう。最近は見た目がいい木調製品も多くなっています。コストとこだわりのバランスを見て決めてください。

南歐 フラワーボックス

窓には「アイアンの格子」「フラワーボックス」などを設けると、ぐっとおしゃれさが増します。カラーリングも含め、ぜひ【南欧スタイル住宅】美しい街並みからヒントを得るコーディネート術 も参考にしてみてください。

妻飾り
妻飾り

「妻飾り」があると、佇まいが引き締まります。また、よりやさしさを醸し出したいなら「鎧戸」をつけるのもいいでしょう。玄関ドアの上に「小屋根」を設けるのも効果的です。「ランプ」「ポスト」など小物にこだわるのもグッド。「アイアンの門扉」、「煉瓦」や「テラコッタ」を用いたアプローチを作るのも素敵です。

テラコッタ
テラコッタ

ソレダメポイント!
いろいろ提案していますが、何でもかんでも採用するとデコラティブな印象になりがちです。特にコンパクトな住まいの場合は気をつけましょう。南欧スタイル住宅は、もともと素朴感が魅力の住まいです。「ちょっと足りないかな」くらいが、結果的にはベストなバランスを保ちます。


プライバシーが守られたパティオによって優雅な暮らしが生まれる

三井ホーム・パティオ
三井ホーム「フィル・コート」

これまでは外観の見た目を中心にお伝えしましたが、南欧スタイル住宅のもう一つの大きなポイントは「パティオ」にあります。パティオとは中庭のこと。本来、建物や塀に囲まれたプライバシーが守られた空間を指しますが、「ウッドデッキ」などを用いても南欧スタイルに近づけることができます。

パティオには「アイアンのテーブルや椅子」を置くと素敵です。床は「テラコッタ」「大判のタイル」を使用することが多く、ヨーロッパでは小さな「噴水」を設けることも。強い日差しを避けるため、「オーニング」を用意するのもおしゃれで実用的です。


開口部をアーチ状に仕上げる。飾り梁や無垢フローリングも検討しよう

室内に目を向けましょう。室内を南欧スタイルに仕上げる大きなポイントは、「アーチ」を設けること。部屋と部屋の間の開口部をアーチ状に仕上げることで、やさしさ、ぬくもりが増すのです。

またリビングなどの天井部分に「飾り梁」を設けると、よりナチュラルな印象に。「木製のテーブル」「家具」との相性も抜群です。できれば壁も「漆喰」「珪藻土」を用いたいところですが、コスト的に難しければクロスをホワイトにすると装飾やインテリアがやさしく映えます。

床は「無垢のフローリング」が理想。ホワイトの壁に対し、少し濃い目の色にすると空間に締りが出ます。床の一部をテラコッタやタイルで仕上げると高級感が増します。手すりなどを設けるなら、やはりアイアンがいいでしょう。

ソレダメポイント!
南欧スタイル住宅をはじめ、海外の家の雰囲気に仕上げる大きなポイントの一つに「壁の厚さ」があります。一般的な日本の住まいではなかなか実現しにくいのですが、アーチを作る際は、厚みを太くしたほうが本物らしさは生まれます。無理に作ってチープになるくらいなら諦める、ということも大切です。


まとめ

憧れの南欧風の家に仕上げるためには、

  • 切妻屋根に浅い軒、洋瓦を用いること
  • 外壁は白やクリーム色の漆喰塗
  • 窓の種類には注意が必要
  • 素材や装飾にもこだわる
  • パティオがあると暮らしがより優雅に
  • 室内はアーチや飾り梁、タイルなどで彩る

すべてを採用する必要はありません。デザインバランス、そして予算と相談しながら、ぜひ夢を実現してください。