夫婦にとって子どもは宝物です。だから新しい家を建てるときは、子どもたちが喜ぶ部屋を用意してあげたいと思うもの。しかし、欧米では日本のそんな考え方とは少し違うようです。今回は、輸入住宅を検討するあなたに、欧米における子ども部屋とはどんなものなのかをお伝えしたいと思います。
自立心を育むために、子ども部屋は簡素につくる
日本の家づくりでは、夫婦が過ごす主寝室(マスターベッドルーム)が狭くなったとしても、子ども部屋(子どもの寝室)の快適性や機能性を重視する傾向があります。愛する宝物ですから、その気持ちも分からなくはありません。でも、欧米ではまったくそのような考え方はしないのです。
自分たち(子どもにとっての親)が建てた家は、あくまでも自分たちが快適に過ごすためのもの。子どもはいずれ巣立っていくものとして、“その間だけ一緒に暮らしている(養育している)家族”といった考え方をするのです。彼らは、子どもが大人になってまで家族の一員として家の中に居続けることなど考えていません。大人になったら家から出て行ってもらうという文化なのです。
ですから、欧米住宅における子ども部屋(寝室)は、とても簡素につくられます。
特に米国の住宅プランニングにおいては、子ども部屋に対する関心はとても低く、中心はあくまでも夫婦です。夫婦のマスターベッドルームには、バスやトイレ、ウォークインクローゼット、書斎コーナーを必ず設けます。一方、子ども部屋は余剰の空間につくるのが常識となっています。
早く独立し、自分も両親のような素敵な家を持ちたいと考える
マスターベッドルームを充実させたことで、子ども部屋をつくる場所がなくなるとしたら、それは屋根裏でも地下室でもいいという考え方をします。こうすることで子どもたちは両親の生活環境をうらやましく思い、自分も大人になって早く独立し、素敵なマスターベッドルームのある家を所有しようと考えるようになるのです。
いつまで経っても大人になれず(ピーターパンシンドローム)、親に依存し続けるパラサイト。快適な子ども部屋から巣立ちたくないと思う未熟な大人を生み出す日本とは違い、欧米の住宅は、自立心を持った立派な大人を育みます。
子ども部屋だけでなく、日本の家はともすれば過剰に子どものためにつくられるケースが見受けられます。この先、何十年も暮らす家が、果たしてそれでいいのかどうか。特に海外の生活・文化に憧れ、輸入住宅を計画する方々は、米国の子ども部屋に対する考え方を参考にしながら、快適で幸せな住まいとはどんなものなのかを再確認してみてはいかがでしょう。