快適な住まいづくりを“土台の部分”で支える仕事/セキスイハイム

セキスイハイム

まだ世の中にないものを、試行錯誤しながら形にしていく

積水化学工業 住宅カンパニーの相良峰雄さん。2016年4月に現部署に異動するまでの15年間、研究職として主に基礎研究に携わっていました。「研究所での仕事は、中長期的なスパンで行うもの。すぐに形にするというより、まだ世の中にないものを試行錯誤しながら見出していく仕事で、大学での基礎研究に近い感覚でした。その分、興味深いテーマに取り組むことができたと思います」。

積水化学工業 住宅カンパニー 相良峰雄さん
「物事をじっくり突き詰めていくことが好きなので、地道な研究も苦にはならず、むしろ楽しかったですね(笑)」

研究の仕事は、まず机上の計算から始まります。あるアイデアがあり、それを形にしたらどうなるか?とシミュレーションして、うまくいきそうなら実験棟でデータをとり、実証していくという流れです。「シミュレーションと実際のデータが一致する時は、快感に近い感動を覚えます」と相良さん。印象に残る仕事の一つは、温水暖房システムを検証した時のこと。貯湯タンクや室内の床、壁などにセンサーを設置し、さまざまな条件でデータを取得。データを分析し、シミュレーションのプログラムをブラッシュアップして、最終的にどのような条件(地域、季節、気象、床面積etc.)でもコンピュータ上で実際のシステムと同等のデータを出せるようになったそうです。ここまで来れば、商品化への道筋が見えてきます。

「実験棟を使ってデータを取る方法には限界があります。すべての条件を設定したら膨大な実験数になりますから、現実的ではありません。条件を絞り込んで実験を行い、そこから得られたデータを元に、条件を変えたときの結果を推定するシミュレーションをつくる必要があるのです」。一つのテーマに数年をかけることもあるという研究の仕事ですが「根気強く一つひとつ検証するプロセスが好きなので、苦にはならず、むしろ楽しかったですね」。

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温度や湿度、風速を測るハンディタイプの計測器。持ち歩いて、建物の中の環境をチェックするそうです

「研究職の仕事は、ただちに形になるものではありませんが、地道な研究が土台にあってこそ新しい商品を形にしていけます。基礎的な研究に力を注げるのは、ハウスメーカーならではの器の大きさ、懐の深さだと思います」と相良さん。このような息の長い研究を行う環境があるからこそ、画期的な商品や一歩先を行く提案が生み出せるのでしょう。

今後は、ライフワークとして“まだ世の中にない快適な室内環境”を追求してみたいと相良さん。「実は、湿気が苦手な体質でして(苦笑)。夏、湿度を60%くらいに保てば、28℃くらいの温度設定でも十分快適な環境になるというデータがあります。湿度が室内の快適さを大きく左右することは分かっているのですが、今の技術では、湿度を下げるには温度を下げるよりもエネルギーが要るんです。できるだけ小さなエネルギーで、湿度を下げる方法があるのではないかと。今後はその分野を追求してみたいですね」。