家づくりを計画する際、「書斎・DEN」を設けたいと考える方もおられることでしょう。書斎・DENは、特に男性には憧れの空間。“自分だけの時間をじっくりと愉しみたい”という思いは、ぜひこの機会に形にしてはいかがでしょう。しかし、輸入住宅を計画する際に気を付けたいのが、「欧米の書斎・DENと日本の書斎とでは考え方が違う」ということです。このコンセプトを間違えると、本格的な輸入住宅、欧米の書斎・DENにはなりません。
そこは家族が入ってはならない場所。尊敬される人になる重要な空間
海外、特に北米の住宅にはDENと呼ばれる書斎を、必ずと言っていいほど設けます。日本の住まいは書斎と言いながら、“家族共有の場所”であることが多いものですが、北米住宅のDENは、“夫のための空間”であり、“家族に侵害されない聖域”として計画されます。家族が勝手に入ってはいけない場所で、あくまでも夫が一人で考え事に耽ったり、仕事をこなす場所なのです。
北米の人たちのライフスタイルは、日本のそれと大きく異なります。彼らは夕方になれば帰宅し、妻や子どもたちと関りを持つ時間をとても大切にします。また、地域社会とも深いつながりを持ち、交流も積極的に行います。帰宅は子どもが眠った後、隣にどんな人が住んでいるかも分からないというような、日本の姿とは大きくかけ離れているのです。
ここから読み取れ、言えることは、北米では会社でいくら高い地位に就いていても、家庭の中ではイチ夫、父親であり、地域社会の中でも一定の役割を担い、貢献しないと、尊敬される存在にはなれないということです。家庭生活や地域社会の中で尊敬されるために使われるのが、書斎・DEN。“男の憧れ”“自己満足を満たす空間”では決してないのです。この考え方、コンセプトを間違うと、薄っぺらな書斎に仕上がってしまいます。
暗めにこじんまりと。威厳を感じさせるインテリアに書籍も大切な要素
では、北米の書斎・DENをデザイン面から見ていきましょう。一人、沈思黙考する場所、集中して物事に取り組む場所ですから、日本の一般的な住まいのような「明るく」とは正反対の空間が主流です。
DENは、比較的低い天井でこじんまりとつくられるケースが多いよう。空間の色調は暗めで、重厚な家具を用いたインテリアデザインを施します。ここは少人数の来客を接待する場所としてや、オフィスとして使用されることもあるため、歴史や権威を感じさせるようなインテリア、色調が重要視されるのです。ライトなインテリアでは、尊敬されにくいと考えるからです。
また、書架に置く書籍も重要です。これは、あなた自身の人となりや教養を、訪れた人に示すものとなるからです。たとえば歴史書が並んでいたら、「この方は日本や世界の歴史に精通している教養人だな」と思われます。逆に週刊誌やコミック雑誌が置いてあったなら、「その程度の人か」と見られます。日本ではマンガを大人でも読み、本棚に平気で並べますが、北米の人たちは絶対にそんなことはしないのです。先にも述べましたが、書斎・DENは尊敬の存在となるための場所だからです。
威厳ある大人の空間は、人の心を磨く
いかがでしたか? 輸入住宅を計画している方は、ぜひ記事を参考に書斎・DENのデザイン・設えを検討してみてください。威厳ある大人の空間は、あなた自身をさらに磨いてくれることでしょう。