【北欧家具】人気の椅子やデザイナーをご紹介。ビンテージ価値も高い

北欧スタイル 家具

住まいづくりの検討を始める中で、インテリア雑誌やネットの写真を眺めていると、北欧スタイルと呼ばれる素敵な家具があることに気づく方も多いことでしょう。それらは、北欧家具の歴史の中で、優れたデザイナーたちにより造形された定番とされる商品たち。北欧スタイルがお好みで、「新居のインテリアに取り入れたい!」とお考えのあなたのために、代表的な家具や照明器具、デザイナーなどをご紹介しましょう。


1 Yチェア(CH-24)/ハンス・J・ウェグナー

ハンス・J・ウェグナー(1914年~2007年)は、デンマークの家具デザイナー。20世紀の北欧デザイン界に大きな影響を与えた人物で、生涯で500種類以上の椅子をデザインしました。その中でも「Yチェア(CH24)」は、歴史に残る名作として高い評価と人気を誇っています。

脚部から背にかけて流れるようなフォルムがとれも優雅で美しく、Y字型の背板部分が特徴的なデザイン。それが名前の由来となっています。木材パーツを蒸気で曲げることで最低限の接合面、金具不要を実現。強度や耐久性にも優れています。

座面はペーパーコードによって編み込んでつくられ、包み込むような心地よさを届けてくれます。長く座っていても疲れない計算されつくした構造は見た目の美しさだけでなく、椅子としての機能性を追求している、まさに本物のデザインといえるでしょう。


2 ザ・チェア/ハンス・J・ウェグナー

「ザ・チェア」という名前は、「椅子の中の椅子」という意味。世界中で愛され、ウェグナー作品の中で最も完成度が高いと言われています。「ザ・チェア」と名付けられているのは、世界に数多ある椅子の中でもこの作品だけです。

背もたれがそのまま伸び、それがアームレストになっているのが、「ザ・チェア」の特徴です。この形の原型は、実は「ザ・チェア」がデザインされる200年以上も前からデンマークに存在し、さらに遡れば、ギリシャの椅子にたどり着くと言います。「ザ・チェア」の優れている点は、それら古い時代の設えから着想を得ながら、デザイン性、機能性を高めていること。座る時の姿勢がどのように変化しても、しっかりとやさしく受け止めてくれるのです。

ウェグナーの最高傑作と言われるだけあって、デンマーク王室をはじめ、ジョン・F・ケネディやオバマ前大統領など、世界のセレブに愛され続けています。同じ1本の木だけでつくられる「ザ・チェア」は、使い込むほどに味わいが増し、わが家の歴史を語る椅子となるでしょう。


3 ソファ(GE290)/ハンス・J・ウェグナー

「ソファ(GE290)」は、ウェグナーのソファにおける代表作。背面は120度の角度でつくられていますが、これは人間工学的に理想の角度とされています。深すぎず、立ちすぎずの角度はとても心地よくリラックスでき、立ち上がる際もスムーズです。

シートは低めで、背があまり高くない方でも足がつき、安定感を得ることができます。座面の延長上に後脚がデザインされ、そのシルエットはユニークでありながら、優雅さも併せ持つもの。背に持たれた際の体重もしっかりと受け止め、後ろに倒れにくい設計となっています。


4 No.42 チェア/カイ・クリスチャンセン

カイ・クリスチャンセン(1929年~)もデンマークのデザイナー。デンマーク王立芸術アカデミーにて、木工や家具デザインを学びました。その彼が1956年に発表したのが、「No42チェア」。エッジ感の効いたハーフアームレストと斜めになった後脚がデザインの特徴となっています。

背もたれは可動し、リラックスしたいときも最適なポジションで身体を支えてくれます。ハーフアームは肘を置くのに最適な大きさ、距離を保ち、テーブルと合わせるときアームが当たって邪魔に感じるということもありません。また立ち上がるときは肘で体重を乗せれば、すっと体を起こすことができます。まさに機能美に溢れた逸品です。


5 エッグチェア/アルネ・ヤコブセン

アルネ・イミール・ヤコブセン(1902年~1971年)は、デンマークの建築家であり、デザイナー。モダン様式の代表的な人物の一人です。「エッグチェア」は、1958年にコペンハーゲンにあるSASロイヤルホテルのためにつくられた椅子で、その名の通り、卵のような曲線が特徴となっています。

シェルの張り地の下には硬い発泡素材を用いていますが、これは当時の新しい技術をいち早く取り入れたもの。自宅のガレージで粘土を使用したクレイモデルを何度も作り、試行錯誤しながら理想の形を追求していったといいます。

SASロイヤルホテルはヤコブセンの設計によるもので、建築とインテリアデザインの両方に携われることは、彼のデザイン理論を実証する絶好の機会だったそう。これは私たちが住む一般の住宅でもいえることで、たとえ住まいが素敵でも、インテリアコーディネートが力不足であると、お洒落な空間に仕上げられません。そういう意味でもヤコブセンを勉強することは、これからの暮らしづくりに大いに役立つのではないでしょうか。


6 セブンチェア/アルネ・ヤコブセン

耐久性が高く、洗練されたデザインが人気の「セブンチェア」。1955年に誕生した椅子ですが、実はその原型は1952年に発表されたアントチェアにあります。背と座の3次元一体成型でつくられた3本足のそれは、成形合板の可能性を見出した意欲作でしたが、「4本足」「アームレスト付き」「布張り仕様のもの」「回転式」などの要望が多く寄せられ、「セブンチェア」は、それらを採り入れた後継モデルとして発売されたのでした。

アントチェアより一回り大きな背板と座面となり、座り心地が改善されました。住宅はもちろん、オフィスなどでも広く用いられ、ミッドセンチュリーデザインの代表作の一つに数えられています。当初はブラックのみでしたが、1968年に8色のカラーバリエーションを追加。その後も建築家や画家の手によってカラーは変遷し、2012年にヤコブセン生誕110周年を記念し、現在の9色となっています。


7 トリップ トラップ/ストッケ

「トリップ トラップ」は、子ども用椅子に革命を起こしたと言われる独創的なハイチェア。1972年の発表以来、大人気を誇っています。どんな自宅にも、どんなダイニングテーブルにもすっきりと馴染み、赤ちゃんも家族の団らんに参加できるように設計されているのです。

座板と足のせ板のどちらでも奥行き、高さを調整することが可能で、子どもが自由に体を動かすことができます。また、しっかりと正しく調整することで、子どもの年齢にかかわらず使用することも可能で人間工学に基づいて製作されているため、姿勢よく座ることができます。見た目もシンプルかつ個性的。空間を選ばない椅子といえます。


8 ストリニング・シェルフ/ニルス・ストリニング

「ストリング・シェルフ」は、スウェーデンの建築家であるニルス・ストリング(1917年~2006年)が、1949年にデザインしたもの。スウェーデン人の3人に2人は持っていると言われるほど、今もなお根強い人気を誇っています。

その誕生のきっかけは、スウェーデンの大手出版社が主催した収納家具のコンペ。手頃な価格で発送、組み立て、設置が簡単な収納棚をテーマに実施したところ、規格化された複数のパーツを組み合わせてつくるモジュール方式を採用したシステマチックなこの家具が、最優秀賞を獲りました。

その後、数年かけてさらに洗練させ、美しさと機能性に優れたシェルフを確立。棚やキャビネット、折り畳み式テーブルなどをラインナップに加え、無限に拡張・改良できる収納システムを生み出しました。時代を超えて愛される秘密は、このような高品質、高機能な商品でありながら、手頃な価格であることが理由なのではないでしょうか。


9 ヤコブソン・ランプ/ハンス・アウネ・ヤコブソン

ハンス・アウネ・ヤコブソン(1919年~2009年)は、スウェーデンのゴットランド島に生まれ、造船所のインテリアデザイナー、フィンランドでゼネラルモータースのデザイナーとして活躍したのち、1951年にハンス-アウネ・ヤコブソン社を設立した人物です。1957年に北欧産のパイン材を薄くスライスした照明器具をデザイン。この「エリッセシリーズ」は、彼の代表作となりました。

エリッセシリーズは1983年に生産終了しましたが、1997年にヤマギワがヤコブソンに復刻を依頼。新たなデザインを加えたそれは、たいへんに注目を集め、「ヤコブソンランプ」と名付けられました。シェード素材はパイン材の中でも高級家具に使用される欧州赤松を使用。焚火のようなやわらかな光、細やかな年輪が美しく、強度も高いこのランプは、今も大人気です。


10 ルイスポールセン社のペンダント/ポール・ヘニングセン

ポール・ヘニングセン(1894年~1967年)は、北欧を代表する照明デザイナー。照らし出される人物、物、空間に最適な明かりとは何かを追求し、生涯にわたって200種類以上もの作品を残しています。中でも対数螺旋に基づく3枚のシェードで構成される照明は、彼の代名詞となっています。

ポール・ヘニングセンのイニシャルをとり、「PHシリーズ」と名付けられたペンダントライトは、対数螺旋というカーブを利用することで、電球の眩しい光をカットし、一方で光が必要な場所や方向に効率よく光を届けるもの。デザイン性だけでなく、暮らしやすさも計算されているこの作品は、明かりを追求し続けたヘニングセンの思いの結晶、最高傑作と言えるでしょう。


まとめ

ここにご紹介したものは、ほんの一部です。北欧インテリアには、まだまだ魅力的なブランドがたくさんあり、それらは今も増え続けています。また、ビンテージ家具として、高い価値を有するものも数多くあります。お気に入りの製品やメーカーをじっくりと見つけるのも北欧インテリアの楽しみの一つ。ぜひ、あなたの中の逸品を探し出してください。