家族が増えるにつれ、モノはだんだんと増えていきます。それと同時に思い出の品も増え、それは捨てるに捨てられないものです。そんないろんなモノをスッキリと片付けるには、たっぷりの収納が必要です。今回は、収納計画のコツやアイデア、間取りの工夫などについて解説したいと思います。
目次
基本は、生活動線上に収納を設けること!
注文住宅の間取りを考える際、まず家族の生活動線を考えることから始まります。朝起きて、支度をし、出かけ、帰宅後、どのような生活を送るのか。平日と休日の違いはどうなのか。それらを考える中で、「そこに収納があったら便利」な場所に、必要な容量の収納を設けることが、収納計画の基本となります。
生活動線は、住まう方それぞれに考え方や条件が異なりますから、一概に「ここにこういった収納を設けたほうが良い」とは言い切れません。しかし、編集部が数多くの実例取材や施主様へのインタビューを実施した中で、「便利!」との声が多くある収納アイデアやポイントをいくつか列挙してみましたので参考にしてください。
シューズクロークのアイデア・ポイント!
普段使いの靴、おしゃれに出かけたいときの靴、サンダルなど季節の靴…。靴はTPOに合わせて種類が増えがちですし、家族が増えればどんどんと増えていきます。そこで、
- 一人何足くらい持つのかを計算しながら、少し大きめのシューズクロークを作る
- ブーツや長靴など、サイズの長い靴も収納できるように高さも考慮する(できれば可変棚が望ましい)
- 出かける際に羽織るコートなどがかけられるハンガースペースがあると便利
- 雨に濡れた靴、傘などを置くこともあるので、換気など湿気対策をしておく
土間収納を設ける!
玄関に土間収納を設けると、暮らしがとても便利になります。土や多少の汚れがついたものでも、神経質にならずに収納が可能。自転車やアウトドア用品、DIY工具、ガーデニング用品など、広めの土間収納があれば、スッキリと収めることができるのでおススメです。
- 小さな洗面を設けると、帰ってきてすぐに手洗いができるほか、用具の水拭きなどにも便利
- 電源を設けておくと、電動自転車のバッテリー充電などに便利
- オープンな棚やフックを設けておくとより手軽に収納できる
- 鍵やハンコなど、出かける際や宅配便を受け取る際に使用する小物を収納するスペースを設けておくと機能的に暮らせる
キッチンまわりの収納は、機能性と生活感を出さないことがポイント!
キッチンまわりは、何かとモノが増えがちになる場所です。調理器具はもちろん、調理家電、食器、さらには水や米などのストック品も置かなければなりません。また、それらが乱雑に置かれたり、視界に入ることで生活感まる出しの家になってしまいます。そこで、
- 扉付きの収納を設け、調理家電などを隠せばスッキリ、生活感が出なくなる。但し、計画の際は、調理家電の買い替えや買い増しも想定し、サイズやコンセント数、場所などをしっかり考慮する
- パントリー(食品庫)を設ける。ストック品はもちろん、普段使いしない調理器具や調理家電も収納でき、便利かつスッキリと暮らせる
- 大きな背面・壁面収納があれば家事動線がラクになり、調理が効率的になる
リビング・ダイニング収納は必須!
家が散らかった印象になる大きな原因のひとつは、帰宅した後、思わずモノをダイニングテーブルやリビングに置いてしまうから。郵便物やバッグ、携帯や時計、読みかけの本、お子様のプリント類などなど…。それらを手軽にサッと片付けられる収納は、必須です。
- 郵便物を個人ごとに割り振って片付けられる収納を設ける
- 出かける際の必需品をまとめてしまえる収納を用意する
- 掃除道具をサッと出し入れできる収納を用意する
- 文房具やリモコン、書類などがしまえる収納を設ける
機能性が左右されるウォークインクローゼットの計画
ウォークインクローゼットはとても便利な収納空間ですが、間取りや収納方法によって機能性が左右されます。ご家族の生活習慣や収納方法を振り返り、しっかりと計画することが大切です。
- ハンガー収納派は、クローゼットを広め、多めに
- 畳んで収納派は、収納ケースなどがたくさん入る押し入れタイプを
- 扉を付けないクローゼット(ウィークスルークローゼット)は、ひと手間が減る。帰宅したその足で通り抜けながら着替えなどができて便利
洗面・脱衣室とランドリールームを一体として考え、収納計画を立てる
洗面台には、ハンドソープや歯磨き粉、ドライヤー、シェーバーなど、さまざまなモノを置くことになりますし、家族が多いと必然的にモノもさらに増えていきます。また、洗面台や脱衣所では、タオルが必要になり、洗濯物も出ます。ですから間取りにおいては、洗面・脱衣室とランドリールームが連続して配置される間取りのほうが、家事動線的にとても便利です。
「脱ぐ(使う)」→洗う→干す→必要ならアイロンをかける→しまう」が一連の流れで出来れば時短につながります。可能であればウォークインクローゼットのある寝室とも連動させれば、より「しまう」がラクになります。洗面・脱衣室とランドリールームを一体として考えたうえで、必要な場所、量の収納計画を立てるとよいでしょう。
- 洗剤やお風呂掃除用品、身だしなみ用品など、必要なものがしっかりとしまえる収納力を用意する(できる限りモノを隠すと生活感が出ず、ホテルライクな雰囲気が生まれる)
- タオル類はもちろんのこと、下着や部屋着、バスローブなど洗面・入浴時に必要なモノがしまえる収納を設けると便利
ロフトがあれば、季節のモノや思い出の品を収納できる!
スッキリと暮らす基本は、モノを増やさないこと。とはいっても思い出の品は捨てるのも気が引けますし、節句の飾り物やクリスマスツリーなど、その季節にしか使わないものもあります。そこでおススメしたいのがロフト。上部空間を有効活用すれば、比較的大きなものもたっぷりとしまえます。
- 天井に近いので熱に気を付ける
- 収納物が落下しないように配慮する
注意! 必要以上の収納は、コストアップを招いてしまう!
たっぷりの収納が欲しいあまり、無計画に「収納だらけ」な家にしてしまうと、「使わない収納がある」「収納のせいで、居住空間が圧迫された」など、本末転倒なことになってしまいます。また、それは建築コストの上昇も招きます。
注意2:地震時のモノの飛び出し、落下防止を!
収納する際は地震を想定し、高いところに重いもの、大きいものは置かない、飛び出し防止の耐震ラッチ付き扉の採用や、本棚はなるべく扉で隠せるタイプを採用するなど、十分な配慮をしましょう。収納家具は、造り付けにすると倒れないのでより安心です。
まとめ
いかがでしたか。ちょっとした気づきやアイデアで、収納量や利便性が大きく変わることに気づいていただけたと思います。階段下など、デッドスペースになりがちな部分を収納にするなど、そんな創意工夫も注文住宅ならではの楽しみです。
家族それぞれのライフスタイル、ライフサイクルを振り返り、お子様の成長や将来のライフイベントなども見据えながら、「しまう・出すストレスのない」ベストな収納を計画してください。