【リビング階段】メリット・デメリットと、間取りのアイデア

リビング階段

家づくりを進めるときに、多くの人がまず考えるのが、家の中心です。つまりリビングをどのように設計・レイアウトするかを検討し、その延長線上にダイニングやキッチンなどを考えていくケースがよく見受けられます。

そのリビングをデザインする中で、検討されるのが「リビング階段」。リビングの中に階段を設けるほうがいいのか、または階段は玄関近くの別の場所にレイアウトしたほうがいいのかに頭を悩ます人も少なくないようです。そこでこの記事では、リビング階段のメリット・デメリットを解説し、そのうえでリビング階段を効果的に採用した間取りを3パターンご紹介します。

家族構成やライフスタイル、さらには将来設計によって、メリットはデメリットになることも、デメリットがメリットになることもあり、一概に「リビング階段は○○だ」とは決めつけられません。自分たちにとってプラスかマイナスかを判断し、間取りパターンを参考にしながら、理想の形をぜひ追求してください。


リビング階段が注目された背景

結婚、出産、子育てと、家族を形成していく過程において初めて家を持つ場合、当然ながらお子様の存在が家づくりのコンセプトや間取りに大きな影響を与えます。今から25年ほど前からハウスメーカーの提案の中に、子育てや子どもの教育をテーマにしたものが見られるようになりました。また、時を同じくして間取りが教育に及ぼす影響が、雑誌やテレビでも取り上げられるようになり、人々の関心を集めます。

そこで注目されたものの一つが、「リビング階段」でした。家族がくつろぐリビングに接した形で階段を設けることで、帰宅した子どもが親と自然な形で触れあい、会話も生まれていくことから、教育上(子どもたちの成長・人格形成上)、とてもプラスになると話題になったのです。

また近年、住宅性能(断熱性・気密性)が高まったことから、リビング階段や吹き抜け空間を採用しても“寒さに悩まされる”ことも少なくなり、リビング階段は広く採用されることとなりました。


リビング階段のメリットとは?

リビング階段

ではここで、リビング階段のメリットを整理してみましょう。リビング階段を採用することによる暮らしや家族へのプラス面は次の通りです。

メリットその1:家族が自然と顔を合せられる

リビングは家族がくつろぐ場。そして2階は子ども部屋などの個室が配されることが一般的です。ですからお出かけの時や帰宅時には、必ず家族が集うリビングを通ることになります。自然な形で触れあうことで会話が弾み、心を通い合わせることが容易になるというわけです。 姿を見れば、子どもたちの表情や態度を見ることもできます。少しでも変化に気づいたら、そっと声をかけてあげる。子どもたちもお母さんが家事をしている姿を見て、自らお手伝いをしようという気持ちになる。そうやって親子の絆は深まっていきます。

メリットその2:空間に伸びやかさがプラスされる

階段やホールをリビングに取り込むことで、伸びやかな空間となります。リビングの隣に階段があっても、そこを壁で仕切ってしまえば圧迫感が生まれますし、階段スペースは狭く、暗くなりがちです。しかしその壁を取り払い、リビングにつなげると、同じ平米数であっても視覚効果によって開放感が生まれるのです。 また、リビングに階段をプラスするとアクセントが生まれ、デザイン性の高いお洒落な空間に仕上げやすくもなります。お洒落になれば、ゲストも気兼ねなく、ちょっと自慢な気持ちをもってお迎えできます。

メリットその3:吹き抜けと組み合わせ、空間にゆとりを

リビング階段は、吹き抜けとの相性がとてもよく、組み合わせによって空間により変化をもたらすことができます。縦の伸びやかさは暮らしにゆとりを与えてくれ、とても心地よく、リラックスできる時間を与えてくれるのです。 また、リビングに階段スペースがあるということは、上下階がつながることを意味します。そこに吹き抜けがプラスされることで、上下階の気軽なコミュニケーションも生み出してくれます。ご飯ができたとき、わざわざ個室に呼びに行くことなく、1階から呼びかければ声が届く。なんとなく気配が伝わり、安心感に包まれる。そんな心やすらぐ緩やかなつながりが生まれることも、リビング階段のメリットです。


リビング階段のデメリットとは?

リビング階段

デメリットその1:否が応でも顔を合せなければならない

いくら仲のいい家族でも、時にはケンカをしていることもあるでしょう。今は顔を見たくない、話したくないと思っていても、生活しているとどうしても触れあってしまう。リビング階段は、そんなプライバシーの確保の面で、多少のデメリットが存在します。 また、来客時にもリビングを通らなければならず、普段の家族だけの生活なら気兼ねなく、身支度をしていなくても1階を利用できますが、お客様の前では気を遣うのは当然です。そこに堅苦しさ、暮らしにくさを感じる瞬間があるのも事実でしょう。

デメリットその2:キッチン(料理)の匂いや音も2階に

上下階のつながりがいい分だけ、匂いや音が伝わってしまうというデメリットがあります。食欲をそそる美味しそうな匂いはうれしいものですが、いざ満腹になったり、お腹が空いていない時、自分だけの時間を楽しもうと思った時には、“気になるニオイ”に変わってしまいます。 また音も然り。1階のテレビの音や笑い声が伝わったり、個室で楽しむ音楽などが1階に流れてきたり…。ここでもやはり、プライバシーの確保の面でデメリットが生じてしまいます。

デメリットその3:リビング階段は寒い?

暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降する。そんな自然の摂理によって、特に「冬場のリビング階段は寒くて困る」と考えている人も少なくないようです。結論から言えば、最近の性能(断熱性・気密性)の家ならば寒くて困るようなことはありません。もし住宅会社の営業などから「リビング階段にすると寒いですよ」と言われたなら、「その程度の住宅性能しかない家しか建てられない会社なんだ」と思いましょう。 それでも寒さが気になるという方は、少し工夫すれば解消できます。たとえば階段口にロールスクリーンやカーテンを設置し、普段は閉めておくと寒さは防げますし、引き戸を採用するのも効果的です。ここで言いたいのは、リビング階段で寒さにおけるデメリットは発生しない、ということです。


ちょっとの工夫でデメリットも防げるリビング階段の間取り例3つ

1.リビング階段

リビング階段 階段とホールをリビングに取り込むことで空間に広がりが生まれるパターンです。この間取り案では、そのスペースをスタディコーナーなどに利用しています。宿題などをする子どもたちの姿をリビングやキッチンからも眺められるので安心できますし、すぐに声をかけてあげることもできます。

2.一般的な動線

階段 玄関からリビングを経由せずに、2階の個室(子ども部屋など)へ直接行ける一般的な動線です。引き戸を採用し、普段は開けておけば子どもたちが帰宅しても、その姿を見ることができますし、声もかけられます。 お客様をリビングでおもてなししている場合などに便利な間取りパターンです。これなら気兼ねなく1階の水まわりも利用できますし、外出も気軽にできます。

3.リビングを経由させる動線

階段間取り

1、2と同じ間取りですが、ドアの位置を工夫することで、リビング階段のデメリットである音と臭いの問題を解消しながら、リビング階段と同じ効果が得られる動線です。


まとめ

  • 25年ほど前から子育てにプラスになる間取りが注目され始めた。
  • その中の一つが「リビング階段」。家族とのコミュニケーションの取りやすさに注目が集まり、人気となった。
  • しかしリビング階段にもメリット・デメリットがある
  • 工夫次第でデメリットを解消できる間取りがある
  • 「リビング階段は寒い」は、最近の家ではまずありえない

人気のリビング階段ではありますが、当然ながら家族構成やライフスタイルによって、必要か否かは分かれます。メリット・デメリットを理解したうえで、自分たちにとって最適なプランを生み出してください。