家は、さまざまな部材や素材で構成されています。屋根材もその一つ。デザイン性はもちろんですが、屋根材にはいくつかのタイプがあり、それぞれメリット・デメリットなど特徴が存在します。屋根材選びで失敗しないために、しっかりと知識を得ておきましょう。ここでは一般住宅に広く使用される屋根材を取り上げます。
目次
屋根材には大きく分けて4分類ある
まず屋根材の基礎知識ですが、住宅に用いられる屋根材の種類は大きく4つに分類されます。
- 金属系
- 粘土系
- セメント系
- スレート系+その他
これら4種類を4回の記事に分けて解説していきたいと思います。第一回目は「金属系屋根」についてです。
ガルバリウム鋼板:金属系
ガルバリウム鋼板とは、アルミ亜鉛合金めっき鋼板(アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%)のこと。アルミニウムの特徴である耐食性、加工性、耐熱性、熱反射性、そして亜鉛の特徴である犠牲防食機能が加わることで、これまでの鋼板よりもさらに耐久性に優れる鋼板(屋根材)です。
メリット
- 耐火性に優れている
- 耐久性が高い
- カラーバリエーションが豊富に用意されている
- 日本瓦の約1/6の軽さゆえに、耐震性(揺れ)に優れている
- 防錆性が高い(一般的なトタンと比べると約4倍の防錆性能)
デメリット
- 断熱性が低い。夏場の断熱対策が必要となる
- 衝撃に弱い
- 防音性が低い。雨音は他の屋根材に比べ大きくなるので注意が必要
メンテナンス
- 約15年~20年で再塗装が必要になる
- 耐久性は塩害地域で15年、その他地域で30年が目安
自然石粒付ガルバリウム(ジンカリウム鋼板)
ガルバリウム鋼板の表面を細かな石粒でコーティングしてある素材です。基本的に再塗装は必要なく、メンテナンス性も高いと言えるでしょう。
メリット
- 耐火性に優れている
- 耐久性が高い。再塗装は不要
- 耐震性(揺れ)に優れている
- 防錆性が高い(一般的なトタンと比べると約4倍の防錆性能)
- 石粒の吹き付けにより、ガルバリウム鋼板の防音性・断熱性の弱点を軽減
デメリット
- 断熱性が低い。夏場の断熱対策が必要となる
- ガルバリウム鋼板に比べ、コストは高くなる
- 施工費が高め
メンテナンス
- 30年以上メンテナンス不要
- 耐久性は40年~50年
ステンレス
最大の特徴は、ステンレスのため錆びにくいという点。海岸近くの家でも安心して採用することができます。カラーステンレスは経年劣化で色あせが生じますが、素材自体はよほどのことがない限り腐食しないため、美観を気にしなければメンテナンスは不要。ただし、他の金属屋根と比べると高価なため、あまり普及していないようです。
メリット
- 錆が発生しない
- 腐食に強く、強度が高い
- 耐火性に優れている
- 耐久性が高い
- 軽量なので耐震性に優れている
デメリット
- 10年程度で色あせが生じる
- 施工費や材料費が高い
- 断熱性が低いため夏場は暑い
- 防音性が低いので、雨音が大きくなる
メンテナンス
- 基本的にメンテナンスは不要。色あせが目立ちはじめる約10年~15年で再塗装するケースが多い
- 耐久性は50年
トタン
トタン屋根という言葉を耳にしたことがあると思いますが、トタンとは亜鉛メッキ鋼板のことを指します。一番の特徴は雨漏りがしにくいということです。
軽量・安価なため、普及が進みましたが錆が発生しやすく、断熱性能には期待できないため室内温度への影響は大きいです。そういう理由から、近年、トタン屋根を採用する家は減ってきています。
メリット
- 施工も簡単。安価で工期も短い
- カラーバリエーションが豊富
- 雨漏りしづらい
- 軽量ゆえに耐震性に優れている
デメリット
- 断熱性が低く、特に夏場の暑さは厳しい
- 防音性が低く、雨の音がうるさい
- 錆びやすい
- 家が安っぽく見える
メンテナンス
- 約7年~10年で屋根塗装が必要
- 耐久性は10年~20年
まとめ
このように金属系の屋根材といっても、いくつかの種類があります。そして、それぞれにメリットもデメリットも存在し、採用を決める際にはメンテナンス面にも考慮しておく必要があるでしょう。
第二回は、「粘度系」をお伝えします。ぜひ、読み比べて最適な屋根材を選んでください。