【窓】夏涼しく、冬暖かい家にするために必要な「窓の基礎知識」

住宅の窓

新しく建てる家は、春夏秋冬どの季節も快適に過ごせる住まいにしたい。そう考える人がほとんどだと思います。特に夏や冬は外気温に左右されやすいため、「断熱性能にこだわりたい」と考えがちですが、現在建てられている家の壁には、品質・性能の若干の差こそあれ、きちんと断熱材が入っており、断熱材を変えることでさらに断熱性能をアップさせようと考えると、実はとてもコストがかかってしまうのです。

そこで注目すべきなのが「窓」。窓の特性を知れば、快適で心地いい家づくりにおおいに役立ちます。


外気温の影響をもっとも受けやすいのは、窓であるという事実!

冒頭で語ったように、外気温の影響を受けやすいのは外壁だと思っている人は少なくないようですが、実は住宅で生じる熱の損失や受ける影響を部位ごとにみると、それが「窓」などの開口部であることが分かります。

冬の暖房の熱が逃げる割合は58%にも及び、夏の冷房中に熱が入ってくる割合は、なんと73%にものぼります。外壁を見ると冬は15%、夏は7%。そのほか屋根や床、換気を見ても、窓などの開口部とは比べ物になりません。だからこそ、快適な室内環境を手にするためには、「窓」を知ることが大事なのです。

1999年の省エネ基準(次世代省エネ基準)で建てた家によるシミュレーション(日本建材・住宅設備産業協会調べをもとに作成)

窓の断熱性能に最低基準がない日本。窓への意識の低さが見て取れる

では次に、窓の断熱性能を見ていきましょう。窓の断熱性能は「熱還流率」という指標で表します。Uw値、U値ともいい、1㎡あたり、かつ1時間あたりに通す熱量を表わし、数値が小さいほど熱の出入りが少なく、性能が高いと言えます。以下に主要国のU値を示します。

国名 U値 断熱性能
フィンランド 1.0 高い
ドイツ 1.3
オーストラリア 1.4
デンマーク 1.5
チェコ 1.7
イギリス 1.8
ハンガリー 2.0
イタリア 2.0
フランス 2.1
スペイン 2.1 低い

ここで重要なのは、表に示した各国の数値は、最低基準であること。これ以上、数値が大きな性能の窓は、使用できないのです。しかし、日本では省エネ建材等級表示区分があるだけで、最低基準は存在しません。最高レベルでも熱還流率が2.33以下で、ご紹介した諸外国と比べると低いことが分かります。ちなみにお隣の韓国や中国の基準よりも劣っており、日本の窓に対する意識の低さが目立ちます。

日本の省エネ建材等級表示区分(U値=2.33が最高レベル)


注目は「枠の素材」。窓選びのポイントはアルミの熱伝導率!

では、もう少し窓を詳しく解説していきましょう。窓は大きく分けてガラスの部分と枠の部分で構成されています。ガラス部分の性能は諸外国に比べ、それほど差はありません。複層(二重)ガラスやLow-Eガラス(ガラス表面に特殊金属膜をコーティングしたもの)は日本でも一般的になりつつありますし、三重ガラスも注目を集めています。

問題は「枠」です。日本の窓の多くにはアルミが使用されています。アルミはとても加工しやすいことから重宝されてきましたが、表を見ても分かる通り熱伝導率が高く樹脂と比べると1000倍もの差があります。アルミサッシは、夏には外気の高温を室内に運びやすく、冬は室内の暖かい空気を外に逃がしやすいのです。ここに「窓選びのポイント」が隠されていたのです。

このようなことから世界的にはサッシの樹脂化、木質化が常識となってきています。ちなみにアメリカでは50州のうち、おおよそ半数の州でアルミサッシが禁止されているそうです。

素材 熱伝導率(W/mk)
アルミニウム 200
樹脂 0.2
0.16
ガラス 1
複層ガラス中空層に入る素材として
空気(窒素と酸素) 0.024
アルゴン 0.016

各メーカーから高品質な窓が続々と誕生。おススメはU値1.0以下

ここまで日本の家における窓への意識の低さを伝えてきましたが、だからといって日本のメーカーによる製品性能がすべて低いわけではありません。各社には豊富なラインナップがあり、欧州基準よりも高いU値1.0以下の商品も数多く用意されています

夏や冬の気候が厳しい中でも快適に過ごすためには、U値1.0以下の高性能サッシをチョイスすることをおススメします。ハウスメーカやビルダーには標準の窓がありますから、まずはその性能(U値や枠の素材)を確かめましょう。あなたが建てる地域の気候や最高・最低気温なども考慮して、担当者と相談しながら決めるといいと思います。また、カーテンやブラインドの使用、素材の選び方も窓からの熱伝導を左右しますので、デザイン性はもちろん、機能性も踏まえた提案を求めることをアドバイスします。

木製サッシ
住友林業「コノカ

まとめ

明るい自然光をたっぷりと採り入れるために、大きな窓を採用したくなりますが、そうなれば外気温、太陽光の影響をかなり受けることになります。前述の通り、窓は暮らしの快適さへの影響力が大きいため、多少コストが高くなっても、高性能な商品を選んでおいて損はありません。