敷地条件に限りがあっても、少しでもゆとりが感じられる空間に仕上げたいものです。今回は、設計の際のちょっとした工夫によって、広さ、伸びやかさが手に出来るコツをお伝えしたいと思います。色の使い方や窓の取り入れ方など、見落としがちな工夫もありますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
コツその1:天井高を高くする
一般的な住まいの天井高は2.2m~2.4mです。それを2.7m(またはそれ以上)にすることで伸びやかさが大きく変わります。ちなみに建築基準法では、居室として使用できる高さは2.1mと定められています。
コツその2:吹き抜けを採用する
開放的な空間と聞いて、真っ先に思い浮かぶのが吹き抜け。圧迫感が無くなり、伸びやかに過ごすことができます。2階部分に当たる高い位置に窓を設置することもでき、そのことにより“抜け感”が増します。
コツその3:ドアの高さを天井高に合わせる
ホテルでよく見る仕様です。一般的なドアの場合、天井から数十センチ垂れ壁がありますが、垂れ壁を無くし、ドアを天井高に揃えることで伸びやかさが得られます。
コツその4:リビングに掃出し窓を採用する
リビングから掃き出し窓を通じ、外空間とつなげることで開放感が生まれます。掃き出し窓を全開放できるフレンチドアにすれば、さらに心地よさが増すでしょう。また、「コツ3」と同様に、掃き出し窓の上部の垂れ壁を無くせば、さらにオープンな空間に仕上がります。
コツその5:白壁にする
白は膨張色ですから、広さを感じることにつながります。また、床材を濃い色にすると空間が重く感じてしまいますので、比較的、明るめの色を選ぶと良いでしょう。
コツその6:廻り縁、幅木を壁と同色にする、もしくは無くす
廻り縁とは、施工上、どうしても生まれてしまう天井と壁の隙間を隠す部材のこと。幅木は、同様に壁と床の間に出来る隙間を隠し、掃除機などがぶつかっても傷が付かないようにする部材のことです。
廻り縁や幅木は高級感を生み出してくれるものでもありますが、空間を引き締める効果があるため、伸びやかさは逆に失われてしまいます。そこでそれらを壁の色と同色にして目立たなくすれば、伸びやかさが増すでしょう。壁を珪藻土などで塗る場合は、隙間が生まれませんので、そういった素材を選ぶのもいい方法です。
コツその7:ダウンフロアを採り入れる
ダウンフロアとは、床の一部がほかの床と比べて一段低くなっているフロアのことです。ダウンフロアにすることで天井が高く感じられます。座の暮らし(椅子ではなく、床に座る暮らし方)になることで、視線が低くなりますので、その分、伸びやかさを感じることができます。
コツその8:高窓を設ける、および窓を多めに採用する
天井に近い場所に窓を設けると、無意識のうちに視線が高くなり、開放感が得られます。高窓は見上げる形になるため、周辺環境にもよりますが、「空」を感じやすくなります。抜け感はもちろん、空の色の変化によって心地よさがもたらされ、暮らしがより豊かになるでしょう。
窓を多く採用すれば、その分、開放感は増しますが、プライバシーの確保などの問題もあり、むやみに設けることはできません。しかし、地窓など周辺環境にあまり左右されない窓計画を立てれば、心地よさは増します。玄関など、比較的暗くなりがちな場所に小さな窓を設けるだけで、随分と印象は変わります。
まとめ
いかがでしたか? このような工夫をすれば、限られた敷地でもゆとりを感じる住まいを実現することが可能となります。家づくりの際には、ぜひ参考にしてください。