「漆喰の壁はとてもいい」という声。「珪藻土の壁はとてもいい」という声。あれ? なんとなく知っているつもりだったけれど、そもそも「漆喰」と「珪藻土」って何がどう違うの??? そんな疑問にお答えし、これからの家づくりに活かせる、それぞれの特徴やメリット、デメリットをお伝えしたいと思います。
漆喰と珪藻土の違いとは?
まず「漆喰」から。漆喰は「石灰石」という岩石を原材料としています。石灰石は、身近なところでは学校の校庭に引かれる白いライン。もちろん住宅に使用される石灰石は、それと比べ物にならないほど上質ですが、あの白い粉をイメージしてもらえると分かりやすいでしょう。
その石灰に藁やスサといったものを混ぜ、海藻などから作られた糊を加えることで、塗り壁用の「漆喰」となります。ちなみに漆喰には、以下に示すさまざまなメリットがありますが、メーカーごとに混ぜる材料や配合が異なるため、若干性能や特長が変わります。
次に「珪藻土」。珪藻土は、珪藻という藻類の一種が長年かけて海や湖に堆積し、生まれたもの。植物性プランクトンの化石でできた土で、それを原料としています。1000度以上の熱を加えて不純物を取り除き、そこに固形材を混ぜて作られます。漆喰は自ら固まることができますが、珪藻土はそうではありません。固形材を入れなくては、壁から剥がれ落ちてしまうのです。
ですから漆喰でもお伝えしましたが、珪藻土も配合されている原料をきちんとチェックしてください。もちろんどれも環境性能の基準はクリアしていて安全ですが、固形材に化学合成ボンドを使用していることもあります。化学製品に敏感・ナーバスな方は注意です。
それでは次に、漆喰と珪藻土の特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。
漆喰のメリット・デメリット
メリット
- 消臭効果に優れている(料理の匂いも消えやすく、洗濯の室内干しも臭わない)
- シックハウスの原因であるホルムアルデヒドを吸着・分解する
- 耐久性が高い(二酸化炭素に反応して固まっていくため。お城の城壁にも使用される建材)
- 汚れてもその部分だけ塗り直せば手軽にもとに戻せる(クロスは全面張替えになる)
- 室内温度や湿度が保たれる(ビニールクロスと比較し、湿気を10倍以上吸い込む)
- 燃えにくい素材なので防災効果が高い
- 水にも強いため、外壁にも使用可能
デメリット
- ひび割れしやすい
- 塗った後に乾かす時間が必要。クロスに比べ割高なことも含め、コストが高くなる
- 珪藻土よりも塗りに技術を要し、職人の腕の差が出やすい
- 無機質なため、冬になるとカルシウムイオンが表面に表れ、白華現象が起きる。よって白色系のものが多いので、カラーバリエーションが少ない
珪藻土のメリット・デメリット
メリット
- 消臭効果に優れている(料理の匂いも消えやすく、洗濯の室内干しも臭わない)
- シックハウスの原因であるホルムアルデヒドを吸着する
- 汚れてもその部分だけ塗り直せば手軽にもとに戻せる(クロスは全面張替えになる)
- 室内温度や湿度が保たれる。漆喰よりも湿気を吸う力が1.2倍
- 燃えにくい素材なので防災効果が高い
- 漆喰に比べて施工しやすく、原材料も安め
- おしゃれ。塗りに同じものはないので、オリジナリティ豊かな家になる
- 漆喰に比べ、色のバリエーションが豊富
デメリット
- カビが生えやすい
- 壁がポロポロと剥がれ落ちる。服で触れると白い粉が付く
- 塗った後に乾かす時間が必要。クロスに比べ割高なことも含め、コストが高くなる
- クロス仕上げよりも職人の腕の差が出やすい
- 水には弱いため、基本的に内壁しか使用できない
- 汚れても水拭きはNG
まとめ
漆喰はアルカリ性の高い素材のため、臭いのもとである細菌やカビを分解する性能があり、耐久性も高いです。珪藻土は、漆喰の1.2倍もの吸湿性能があり、湿気対策には有効です。それぞれの特徴を生かして、部屋ごとに塗り分けるのもいいかも知れません。 湿気の多い洗面所には珪藻土を、臭いをなくしたいトイレには漆喰を。もちろん見た目もおしゃれで美しいですから、リビングや玄関にも最適ですし、寝室に用いればぐっすりと眠れる効果も期待できそうです。