土地を探すにしても、家を建てるにしても、自分に対して親身に相談に乗ってくれる“ベストパートナー”を見つけることが、満足度の高い住まいづくりには欠かせません。とはいえ、“良い営業スタッフ”を見極めるのは簡単なことではないのも事実。そこで今回は、不動産業を営むS社長に、ベストパートナー探しのコツを伺いました。
お客様目線で考え、よく気がまわる人を選ぶこと!
編集部:今回は、かなり抽象的なお題ですが、よろしくお願いします。
S社長:営業スタッフのお話の前に、まず気を付けていただきたいのが、問い合わせする不動産会社は2~3社ほどに絞ることです。というのも、どの不動産会社もビジネスなので、当然ながら成約に結び付けたい。だから情報をよりたくさん見せようとするものなんです。4社も5社も問い合わせしてしまうと情報が取っ散らかって、収拾がつかなくなる。同時並行的に問い合わせするのは、2~3社程度にしたほうが無難です。
編集部:なるほど。地域が決まっていたらなおさらですよね。情報がタブることもあるでしょうし。
S社長:そのうえで良い不動産会社、良い営業スタッフの見極めを行うわけですが、ありきたりで恐縮ですけれど、結局、“人”なんですよね。でも、人と言ってしまうと曖昧過ぎるでしょうから、そこを見極めるためのポイントをいくつか挙げてみます。
- 連絡がまめな人
- 見た目が爽やか、身だしなみがちゃんとしている人
- 一般常識をわきまえている人
- イエス、ノーをハッキリ言える人
- 価格や広さ等の条件面だけではなく、お客様の立場(目線)で物件選びをしてくれる人
- 気がまわる人
編集部:この中でも、お客様目線で物件選びをしてくれるというのは大きなポイントのような気がします。
S社長:そうですね。気がまわる、ということにもつながりますね。どこまでやるかは別として、私の経験から言うと不動産営業としてやれることはたくさんあるんです。たとえば、お客様に物件をご紹介する際、ざっくりとでもスズランテープと杭を用いて、「ここには駐車場を確保して、ここはLDKで…」みたいにテープで囲って示して差し上げれば、お客様は広さをイメージしやすいわけです。自撮り棒を使ってだいたいの高さから写真を撮れば、2階からの眺望も想像してもらえますよね。
編集部:確かに! そんな工夫をしてもらえるとすごく分かりやすいし、うれしいですね。
S社長:あまり期待しすぎるのはよくないですけれど、どうやってお客様にとっての“最適解”を見つけているのかといったプロセスは要チェックです。なぜこの物件を選んでくれたのかなどを聞くと、その答えによって営業スタッフの自分たちに対する向き合い方が分かると思います。
土地購入において、掘り出し物は存在しない!
編集部:あと…。ちょっと難しいかも知れませんけれど、施主の立場としては“掘り出し物”を紹介してくれるとうれしいです。
S社長:夢を壊すようですけれど、それはありません。
編集部:えっ! 無いんですか?
S社長:無いです。掘り出し物件なんて存在しません。もし、そうやって紹介された物件は、何かどこかに問題が潜んでいる物件だと考えたほうがいいです。
編集部:でも…
S社長:先ほども述べましたが、不動産業はビジネスです。もし掘り出し物件があれば、不動産業者が買い取って転売したり、分譲住宅を建てて販売します。そのほうが儲かるんですから。また、仲介であったとしても、売りたい人は少しでも高く売りたいわけですしね。
それでも掘り出し物というなら、たとえば土地を2分割して分譲している場合、同時にお客様が契約してくれれば値引きをするということはあります。友人や親族と相談して「一緒に購入するから」と交渉すれば、お得な価格提示を受けられることはあるでしょう。
また、地元に密着した不動産業者なら、出回っていない土地を紹介してくれることもあります。これは価格というより、立地条件などが掘り出し物ということになりますね。
プラスいくらまでなら出せるのか。予算枠をしっかり決めておこう!
編集部:そのほか、何か気を付けるポイントはありますか?
S社長:みんながみんな、というわけではありませんが、予算より2割増しの価格の物件を案内する営業も少なくありません。たとえば「予算は2500万円」と伝えていても3000万円の物件を紹介するというものです。
2割増しですからね。お客様はいい土地に感じるわけですよ。お客様の予算にゆとりがあれば成約につながるかも知れない。だから高めの土地も紹介するわけです。
編集部:でも、数十万円ならまだしも、2割増し、この例でいうと500万円も高かったら手が出ないのでは?
S社長:そこなんです。営業スタッフは、少しでも高いものを売りたい。これは仕方がないことですね。逆にお客様は少しでも安く買いたい。だからお客様もたいていは本当の予算よりちょっと低めの額を伝えているケースが多いものなんです。
そこでお客様に決めておいて欲しいのは、プラスいくらまでなら出せるのかです。素敵な物件を見せられて即決したら、その後に苦労するのは目に見えています。だから2割増しの物件を見せられても、妥協する部分を持っていないと気持ちに流されて契約し、後悔することになります。これは“良い営業スタッフの見分け方”ではありませんが、とても大切なことですので、ぜひ土地探しの際は頭の中に入れておいてください。
編集部:今回も貴重なアドバイス、ありがとうございました。
※記事内の意見は個人的見解です。