住まいの工法・構造や家づくりにおける特徴を調べていると、「尺モジュール」や「メーターモジュール」という言葉に出会うことがあります。「この違いって何?」と疑問を持った方に、それぞれの違いとメリット・デメリットをお伝えしましょう。
目次
モジュールとは、建築寸法の単位
住まいや、住まいをつくるために用いられる建材の基準となる寸法を「モジュール」と呼びます。
尺モジュール
尺モジュールとは、古くから日本で使われてきた寸法で、寸・尺という尺貫法によって算出されます。3尺(半間)をベースにするため、1スパンあたりは0.91m(910mm)。1グリッドは910mm×910mm(91㎝四方)。日本の家づくりにおける主流となるモジュールです。
メーターモジュール
メーターモジュールとは…1スパンあたり1m(1000mm)とする規格寸法。1グリッドは1m×1m(1m四方)となります。
2つのモジュールを比較すると
つまり、「尺モジュール」は、「メーターモジュール」と比べ、1辺の長さが「マイナス9㎝」となるわけです。
基準寸法が異なる訳ですから、「メーターモジュール」で建てる家は、「尺モジュール」で建てる家よりも広い(大きい)空間を実現することができるのです。
幅で比較
もう少し、具体的な数字で見比べてみましょう。「メーターモジュール」は、柱の中心から柱の中心までの幅が1m。壁の厚さを差し引くと、人が通れる幅は約87㎝となります。
それに対して「尺モジュール」は、柱の中心から柱の中心までの幅が91㎝。壁の厚さを差し引くと、人が通れる幅は約78㎝となります。
6畳間で比較
6畳間を作る場合を見てみましょう。「尺モジュール」の場合は、2.73m(1.5間)×3.64m(2間)=約9.94㎡。
一方、「メーターモジュール」の場合では、3m×4m=12㎡となり、「尺モジュール」よりも約20%広く(大きく)なるのです。
「尺モジュール」「メーターモジュール」のメリット・デメリット
それでは、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
尺モジュールのメリット
- 設計自由度が高い
- 狭小地の場合、基準寸法が短いため、細かな設計が可能になる
- 障子や襖、畳など、和室をつくる場合に向いている(障子や襖、畳などの既製品は尺モジュールに合わせたものがほとんどのため)
- 建築コストがメーターモジュールに比べて安価
尺モジュールのデメリット
- 玄関や廊下、階段幅などが「メーターモジュール」に比べ、狭くなる。廊下は車椅子利用が窮屈で、人とのすれ違いもゆとりがあまりない
- 階段の勾配がきつくなる
メーターモジュールのメリット
- 尺モジュールに比べ、大きな家が建てられる(敷地の制約にもよる)ので、生活がしやすい
- 廊下や階段幅が広くなる。車椅子も使用しやすい
- 階段の勾配が緩やかになる
- 玄関や水回りなども、ゆとりある空間にすることが可能
メーターモジュールのデメリット
- 狭小地の場合、尺モジュールに比べて細かく設計することができない
- 建築費が高くなる
まとめ
一概にどちらのモジュールがいいか、悪いかは言えません。
大まかに言うならば、設計自由度が高いのが「尺モジュール」。ゆとりがあり、生活しやすいのが「メーターモジュール」。
狭小地の場合、「尺モジュール」のほうが結果的に広い家を建てられることもあります。「尺モジュールには対応していない」、同じく「メーターモジュール」には対応していないという建築会社もありますので、事前にカタログなどを請求し、確認しておくといいでしょう。