【名建築】自然と調和するフランク・ロイド・ライトの代表作:落水荘

落水荘

フランク・ロイド・ライトという名前を聞いたことがあるでしょうか。ライトは近代建築三大巨匠の一人で、アメリカ人でありながら日本にも訪れ、数多くの名建築を残すとともに、後進の育成にも尽力しました。今回は彼が残した名作の中から、特に有名な「落水荘(フォーリング・ウォーター)」をご紹介したいと思います。


設計思想は、建築物と敷地環境との統一感

フランク・ロイド・ライトの代表作:落水荘

ライトの設計思想は、建築物と敷地環境との統一感をもたせるというもの。切石などの自然素材を積極的に用い、その豊かな造形美は、まるで彫刻作品のような雰囲気をまとっています。ライトが設計した住宅は200棟近くにもなると言われていますが、中でもご紹介する落水荘は、“建築物と敷地環境との統一感”という彼の思いを色濃く反映した作品です。

1935年にペンシルベニア州のピッツバーグから南東に80キロメートルほどの場所に落水荘は建てられました。エドガー・カウフマンという方の住まいで、今では観光スポットとして年間12万人以上も人々が訪れます。


滝や岩盤など、そこに存在するものを暮らしに取り込むという発想

フランク・ロイド・ライトの代表作:落水荘

建物の名前、そして写真を見てもお分かりのように、まるで滝の上に家が建てられているかのよう。敷地環境との統一感は、この滝だけでなく、梁を支える基礎に現地の岩盤をそのまま利用したり、部屋の中にも岩がむき出しになっているなど、一般的な住まいからは想像できないものとなっています。だから名建築なのですね。こういう家を知ることは、これからの住まいづくりに何かしら生かされることがあるかも知れません。

ちなみにこの落水荘は、アメリカ建国200年の中で、雑誌社の投票において第1位の名住宅建築に選出されています。ライトは浮世絵収集家の一面を持っており、落水荘は前北斎為一(葛飾北斎)の諸国瀧廻り木曽海道小野ノ瀑布に影響を受けたとも言われています。カウフマンさんの息子さんは、ライトの弟子だったそうです。


まとめ

フランク・ロイド・ライトの作品は、日本でも見ることができます。たとえば帝国ホテル旧館や旧山邑邸(ヨドコウ迎賓館)、自由学園明日館などです。まるで彫刻作品のようと前述しましたが、実際に訪れてみると、そのダイナミックかつ精緻な作品に驚くことでしょう。機会があればぜひ見学に行ってみください。