【輸入住宅の基礎知識】日本とは違う海外のリビングルームへの考え方

ファミリールーム

欧米の住まいには、日本の家づくりとは違ったルールや考え方などがたくさん存在します。それらを知っておくことで、輸入住宅を設計・プランニングする際にとても役に立ちますし、可能な限り、本物の輸入住宅に近づけることができるのです。今回ご紹介するのは、「リビングルーム」に対する考え方です。


お客様をおもてなしするなど、リビングルームは公的な場所

リビング 三井ホーム
リビング/三井ホーム

リビングルームと聞けば、「家族がくつろぐ居間のこと」と答える方が一般的だと思います。しかし海外の住まい、特に北米住宅の場合、リビングルームは「ゲストをお招きし、おもてなしする応接室」のことを指します。つまり、いわゆる“パブリックスペース、フォーマルな空間”なのです。

リビング スウェーデンハウス
リビング/スウェーデンハウス

公的な場所ですから、彼らはリビングルームを晴れがましくデザインします。そして心を込めておもてなしをするのです。もちろん、家族が使用しないわけではありません。しかし、北米ではリビングルームは住宅の中の“公的空間”という考え方が主流。ですから、たとえ家族同士であっても、そこはパジャマや下着などと言った格好で過ごす場所ではないのです。

では、リビングルームを家族がどのように使うのでしょうか。それは誕生日やクリスマス、イースター、記念日などのフォーマルなイベントを行う空間として使用されます。


家族だけが過ごす、ゲストには見せない空間がファミリールーム

ファミリールーム スウェーデンハウス
ファミリールーム/スウェーデンハウス

「それでは、ぜんぜん家の中でゆったりできないな」と感じる方もおられることでしょう。そういったくつろぎの場所として北米住宅では別途、「ファミリールーム」を用意します。

ファミリールームは、朝、起きてきて家族と顔を合わせる空間であり、出かけるときには家族に挨拶をし、それを見送る部屋です。家に帰ってくると必ずここを通過し、たとえ言葉を交わさなくともお互いの視界に入ることによってコミュニケーションを図ります。

ファミリールーム 住友林業
ファミリールーム/住友林業

その他、食事の前後のくつろぎの場所として使用しますし、家族が家の中にいる間は、たいていここに集まり、会話を楽しみます。たとえ家族それぞれの楽しみ方するとしても、みんな自然とここに来て、思い思いに時間を過ごすのです。ファミリールームこそが、日本のリビングルームのような場所。ただし、ファミリールームは“プライベートな空間”ですから、ゲストからは見えない形で間取りレイアウトされます。


まとめ

北米における「リビングルーム」は、日本のそれとはまったく違うものだということがお分かりいただけたことでしょう。また、「ファミリールーム」もゲストの視線を遮るなど、日本の空間づくりとは一線を画したものです。こういった発想や常識が、日本にはない豊かさを感じる空間づくりのポイントとなっているのです。