あれだけ一生懸命に考え抜いたのに、我が家が完成して実際に住んでみると、「ああ…コレ使いづらい!」と思うこともあるようです。「はじめて家を建てる」では、そんな失敗・後悔を防ぐべく、家づくりのコツ・ポイントを「質問方式」で分かりやすくお伝えします。今回は「コンセント編」。ぜひ参考にしてください。
目次
失敗・後悔しないコツ。一日の生活の流れをイメージしよう!
今の世の中、電気がないと暮らせません。そこで大切なのが「コンセント」。コンセントは、日々暮らしていると「そこに当たり前にあるもの」として考えがちですが、これからあなたが建てる注文住宅は、コンセントの数や位置も“注文”しなくてはなりません。
多くの人がはじめて家を建てるため、「これで十分」と思っていても、いざ暮らしてみると「ここにもあったらな」ということになりがちです。平面図を見ただけでは、コンセントの“ベストな数・位置・高さ”を理解するのは、正直難しいですよね。
コンセントで失敗・後悔する方々にアンケート
アンケートを取ると、以下のような回答が多く寄せられました。
- 数が足りない
- 高さ・位置が不便
- 付けたはいいが、家具などで隠れて使えていない
- コンセントの口数が足りない(結果、タコ足配線になってしまった)
不満・後悔を防ぐためには
では、上記のような不満・後悔を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。その答えは、
「できる限り、生活スタイルを想像し、コンセントの位置・数を割り出す」こと
でも、おそらくみなさんそうやって計画しているのでしょうね。それでも不満や後悔が出るのは、“イメージしきれていない”からです。こういってしまえば身も蓋もありませんが、そこで一つアドバイスです。家族で一日の暮らしの流れを想像し、話し合ってください。
たとえば朝起きて、顔を洗う際、電動歯ブラシを使い、電動シェーバーを使用し、ドライヤーも使うとしましょう。おそらく電動歯ブラシは充電するためにコンセントが一つ埋まるはず。電動シェーバーの充電はどうでしょうか。ドライヤーを使用する際、コンセントが埋まっていてそのたびに抜き差ししなければならないのは、ちょっとしたことではありますが面倒です。
リビングでは、TVを見たり、音楽を聴いたり、ゲームを楽しんだり、携帯の充電をしたり…。さて、どれくらいの口数のコンセントが、どの位置にあれば十分・便利なのでしょうか。こうやって平日・休日の一日の過ごし方をイメージし、必要コンセントを割り出すのです。
そこで、生活のイメージがわきやすいように、以下にさまざまな質問を用意しました。整理しやすいように「部屋別(空間別)」にしてありますが、他の居室を考える際にも参考にしながら、万全のコンセント計画を進めてください。
部屋別(空間別)チェックリスト
玄関廻り
- 電動自転車のバッテリーなど、充電するものを置く予定はありませんか?
- 土間スペースなど広めの空間がある場合、メンテナンスやDIYをすることも。その時に電動工具は使用しませんか?
- 作業する場所とコンセントの位置・高さは適切ですか。コードが充分に届きますか?
- 玄関廻りに置いたもの(傘立てやベビーバギー等々)にコンセントが隠れてしまいませんか?
- アクアリウムなどを置く予定はありませんか? その際のコンセントの位置・高さは適切ですか。
廊下・階段廻り
- おしゃれに演出するために、階段下などに後から照明を置いたりしませんか?
- 掃除機をかける際のコンセントは確保されていますか?
キッチン
- 家電製品の数だけ用意されていますか?(将来的に増えることも考慮しましょう)
- それぞれの家電製品を置く場所を決めていますか?(あらかじめ決めておかないと、のちに配線で苦労したり、不満が出ます)
- 水がかかりにくい場所にコンセントをつけていますか?
- 冷蔵庫の高さ・横幅を考慮してコンセント位置を決めていますか?
- パントリー(食品庫)にもコンセントがありますか?
リビング・ダイニング
- テレビの位置を決めていますか?(配置によっては配線がむき出しになり、ごちゃごちゃしたイメージの空間になってしまいます)
- 家具の位置(その他、居室も同様)を決めていますか?(コンセントが家具に隠れて使えないということにつながります)
- DVDレコーダーやオーディオ、ゲーム機器、スマートスピーカーなど、家電製品の使用を賄えるだけのゆとりあるコンセント計画になっていますか?(家電が増えていくことも想定しましょう)
- 素敵な壁紙を貼ったのに、コンセントを付けることで雰囲気が壊れませんか?(少しずらせば白壁のところに付けられるなら、そのほうがおしゃれさを損ないません)
- エアコンの位置を決めていますか?
洗面・ランドリースペース・トイレ
- 水がかかりにくい位置にコンセントを付けていますか?
- 鏡を見ながらドライヤーを使用する際、コードが顔の前を通ったりして邪魔になりませんか?
- 洗濯機の高さ・横幅を考慮してコンセント位置を決めていますか?
- アイロン台(カウンター)を用意する場合、安全にアイロンを動かせる位置(コードの長さ)にコンセントはありますか?
- 風呂の残り湯ポンプなど、比較的使用頻度の高い電気製品の数だけコンセントはありますか?
- シャワー付きトイレ用だけで口数は足りますか?
寝室・子ども部屋
- 勉強机は、別途照明を使います。家具も含め位置は決まっていますか? それに沿ったコンセント計画になっていますか?
- ベッドに横たわりながら本を読んだり、携帯を充電したりするために必要なコンセントは、ベストな位置に用意されていますか? コードは届きますか?(延長コードはおしゃれさを損ないます)
- 開いたドアとコンセントが重なっていませんか?(使いにくいだけでなく、掃除機のコードがドアにひっかかってイライラの原因に)
ウォークインクローゼット・納戸
- 普段、使用頻度が少ない部屋ですが、たまに除湿器などを使用することはありませんか?
- 掃除機は、他のコンセントから届きますか?
ガレージ・バルコニー・外廻り
- ガレージで電動工具を使用することはありませんか?
- 電動自転車の充電はしませんか?
- 庭やバルコニー、ガレージで高圧洗浄機などを使用しませんか?
- 庭やバルコニーで、ホットプレートなどを使用してBBQを楽しむ予定はありませんか?
- 雨の日の水撥ねなどを考慮した仕様・高さになっていますか?
- EV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッド車)の予定はありませんか?
まとめ
さまざまな質問を用意いたしましたが、これらはあくまでも代表的なもの。みなさんそれぞれにライフスタイルが異なると思いますので、ぜひ生活や趣味など多面的に、自ら、そしてご家族の行動を整理してみてください。
また、長期間プラグを挿しっぱなしにしているとホコリがたまったり、キッチンまわりの場合は、油を含んだホコリがたまり、火事の原因になることもあります。
「コンセントはなるべく隠したい」という気持ちも理解できますが、掃除(メンテナンス)や安全確認が容易にできる位置に付けることも大切です。
どうしてもコンセント位置に悩んだら、可能ならば電気工事業者さんに相談するといいでしょう。豊富な経験や知識があるので、きっといいアドバイスがもらえると思います。