「平屋の善し悪しが理解でき、理想の間取りをつくる実践法」において、ヒアリング・ゾーニング・プランニングと言った流れやコツをお伝えしましたが、家づくりを始めたばかりの人が、何も参考プランがないままに理想に近づくのは少々難しいのも事実。そこで「タイプ別(家族構成別)、平屋の間取り事例」をご用意しました。これらを参考にすれば、きっとあなたのプランニングもスムーズに進むことでしょう。
目次
1.平屋の間取り【23坪】シニア夫婦2人
テーマ「遊びに来る子や孫とも楽しく過ごせる、ウッドデッキのある住まい」
想定した家族構成・ライフスタイルは以下の通り。
- ご主人が定年でリタイアしたシニア夫婦
- 定年後の終の住処を想定
- 娘夫婦が近くに住んでおり、子や孫が時々、遊びに来る(泊まる)。
- 延床面積 23坪
西入り玄関で、南に面したリビングを用意。リビングからつながるように配したウッドデッキが広がります。ウッドデッキは夫婦の憩いの場としてはもちろん、子どもや孫が遊びに来た時に、BBQなどをして楽しむことができるスペースです。キッチン横には勝手口を設け、ごみを一時的に置くときも便利な動線を確保しました。
畳コーナーは床の間を無くし、実用的なふとん収納など、仕舞える空間を充実。普段は、ごろっとくつろげる座の空間として、ゲストが訪ねてきたときは客間として使用します。
夫婦2人なので水まわりはコンパクトに。寝室からトイレへの動線を短くし、今後の生活スタイルを考えた利便性を追求しています。
2.平屋の間取り【24坪】若い夫婦2人
テーマ「廊下なしがポイント! 無駄を省くことで広々空間を実現」
想定した家族構成・ライフスタイルは以下の通り。
- 共働き夫婦の一次取得者(初めての持家)
- 将来、一人は子どもが欲しい
- 共働きで忙しいので、家事はコンパクトに済ませるようにしたい
- 洗濯物は干したまま外出したい
- 延床面積 24坪
東入り玄関。廊下を無くすことで、ゆとりのある空間構成を実現しました。7.5帖の洋室が寝室で、6帖はいずれ子ども部屋に。それまでは夫の書斎・妻の趣味スペースとして利用します。
共働きで忙しいため、家事は効率的に。バスルーム、洗面兼ランドリー室をまとめ、室内干しができるコーナーも設けました。天気がいい日には屋外干しがさっとできるように扉も設けています。軒下なので雨もしのげます。
畳コーナーは客間として想定。もちろん洗濯物を畳む場所として活躍してくれますし、将来、子どもがお昼寝する場所としても、キッチンやリビングから目が届き、安心です。
3−1.平屋の間取り【25坪】夫婦と子ども1人【その1】
テーマ「家事動線に配慮し、すぐ移動できる、すぐ済ませる、が可能に」
想定した家族構成・ライフスタイルは以下の通り。
- 共働き夫婦+小・中学生くらいの子ども1人
- 延床面積 25坪
西入りプランです。6帖の子ども部屋には、リビングを通らないと自室に入れない動線にしてあります。「寝学分離」(寝る場所と学ぶ場所を分離させ、部屋に籠らせないようにする子育て理論)の発想で、リビング横にはスタディカウンターを設け、子どもの勉強スペース&家族の書斎、ミセスコーナーとして活用します。カウンターの背面は、本棚を設けます。
ウッドデッキのテラスはリビングからも、洗面・洗濯室からもつながり、様々なシーンで活躍します。
3−2.平屋の間取り【30坪】夫婦と子ども1人【その2】
テーマ「風が通るリビング・ダイニングが、家族の公園になるような住まい。」
想定した家族構成・ライフスタイルは以下の通り。
- 共働き夫婦+小・中学生くらいの子ども1人
- 延床面積 30坪
東入り玄関。子ども部屋に入るまでには必ずリビング・キッチンを抜けていくので、家族との会話が自然と生まれる仕掛けとなっています。南北の両サイドに開口を設けることでLDには心地よい風が通り、リビングがまるで自然を感じさせる公園のような快適空間に仕上がります。
廊下を無くすことで床面積を有効に活用。コンパクトな家事動線を実現しています。和室は多目的に利用できる他、2人目のお子さまが誕生した場合、いずれ子ども部屋として使用することも可能です。また、ダイニングの窓の外には裏庭をつくることも想定。北には落ち着いた光が入るので、そこに浮かぶ景色を眺めながら、食事やお茶を楽しみます。
4−1.平屋の間取り【30坪】夫婦と子ども2人【その1】
テーマ「いずれ思春期を迎える子どもたちにも配慮した、寝学分離プラン」
想定した家族構成・ライフスタイルは以下の通り。
- 共働き夫婦+小・中学生くらいの子ども2人
- それぞれに分離した子ども部屋が欲しい
- 延床面積 30坪
南入り玄関で、リビングを通らず、すぐに子ども部屋というレイアウトになっていますが、「寝学分離」でスタディカウンターは別に設けていますから、籠る心配はないでしょう。また近い将来、思春期を迎えますから、これくらいの距離感を保ってあげる配慮も必要かもしれません。
キッチンとバスルーム、洗面、ランドリーコーナーを一直線に配置し、家事動線に配慮しています。対面式のキッチンですから、家事が孤立することなく、リビングでくつろぐ家族の姿を見ながら料理が出来ますし、配膳もラク。子どもたちがお手伝いしやすいレイアウトです。
4−2.平屋の間取り【27坪】夫婦と子ども2人【その2】
テーマ「楽しい時間を演出。いつまでも家族が仲良しでいられるウッドデッキプラン。」
想定した家族構成・ライフスタイルは以下の通り。
- 共働き夫婦+小・中学生くらいの子ども2人
- それぞれに分離した子ども部屋が欲しい
- 延床面積 27坪
西入り玄関のプランです。家族との時間を豊かに楽しめるように、アウトドアリビングとしてのウッドデッキを設けました。ここはBBQをしたり、ひなたぼっこをするのに打ってつけですが、リビングとつながるように配するため、開放感が増すという効果があります。
ランドリーコーナーには室内干しを設けていますが、ウッドデッキに出られるドアも用意したことで、屋外干しもさっとできます。主寝室にはウォークインクローゼットも設けました。
4−3.平屋の間取り【30坪】夫婦と子ども2人【その3】
テーマ「広々LDKに客間もプラス。楽しい会話、時間を手にするプラン」
想定した家族構成・ライフスタイルは以下の通り。
- 共働き夫婦+小・中学生くらいの子ども2人
- それぞれに分離した子ども部屋が欲しい
- 延床面積 29坪
東入り玄関。玄関ホール以外は廊下を設けず広々としたLDKから各部屋へ出入りが出来る効率的な間取りです。
多目的に利用できる和室は、家族で寛いだり、奥様が家事をしたり、客間としてゲストを泊めることも可能です。
「寝学分離」のレイアウトにコンパクトな水まわりで、家族の絆を深め、そして家族が機能的に暮らせる配慮を施し、屋根付きのデッキを設けて、雨の日も屋外干しができる工夫もプラスしています。
5−1.平屋の間取り【35坪】二世帯住宅【その1】
テーマ「程よい触れあい、程よい分離。二世帯が心地よく行き交うプラン」
想定した家族構成・ライフスタイルは以下の通り。
- 娘夫婦2人+子ども1人+親世帯2人
- お互いのプライバシーは守りながらも、触れあいの場も欲しい
- 延床面積 35坪
西入り玄関で、真ん中に配したLDKより右が親世帯。左が子世帯です。娘夫婦なのでキッチン・バスルームは共有。玄関を一つにすることで、自然な会話、つながりが生まれるレイアウトとなっています。
トイレは2か所に設けてより便利に。親世帯へとつながる廊下部分にスタディカウンターを設けることで、孫との交流が生まれる工夫を施しました。年齢を重ねるごとに動くのが億劫になりがちな親世帯に配慮して、水まわりの位置を親世帯に近づけました。洗面は2ボウルにして、忙しい朝でも並んで支度ができるように設計しています。
親世帯とリビングの間には、親世帯が縁側としても利用できるウッドデッキを回しました。こうすることで緩やかに親・子世帯の分離を図りながら、孫と遊べる空間として、絆を深める役割も果たしてくれます。
5−2.平屋の間取り【35坪】二世帯住宅【その2】
テーマ「生活音などに配慮して、真ん中でセパレートするプラン」
想定した家族構成・ライフスタイルは以下の通り。
- 娘夫婦2人+子ども1人+親世帯2人
- お互いのプライバシーは守りながらも、触れあいの場も欲しい
- 延床面積 35坪
住まいの中央でセパレートするプランです。玄関は一か所ですが、親世帯はリビングを通らないため、プライバシーの確保が強まります。2世帯なので玄関収納は大きめに。2つの扉で分けています。
バスルーム、トイレ、洗面などの位置は、親世帯優先で。キッチンにはカウンターも設け、軽い食事やお茶などができる、便利で会話が弾むアイデアを盛り込みました。
子世帯への工夫として、「寝学分離」のスタディカウンターも設けています。生活スタイルや活動時間が異なるため、音や明かりに配慮したいというご家族にとって、最適なプランの一つです。
まとめ
自分にとっての理想の間取りをつくるには、間取り事例を参考にすることもひとつの近道です。 家づくりでは、この他にも外観のデザインや用いる素材など、検討すべき要素はたくさんありますが、まずはこの間取り事例を参考に、ゾーニング・プランニングをしてみてください。そうすることで、夢のマイホーム、理想の間取りがより具体的にイメージされていきます。ぜひ頑張ってください。