友人とはじめての家づくりを会話していた時、「やっぱりジョリパットにするの?」と言われ、頭の中は「???…」。笑顔で「まだ決めていないの」とごまかしたものの、「ジョリパットって何???」。今回は建築用語の基礎知識として、ジョリパットをご紹介したいと思います。
目次
豊富なバリエーションがあり、外壁の質感にこだわる方におススメ
「ジョリパット」とは、化成品や建装建材などを製造・販売するアイカ工業の「壁面仕上げ用の塗材」のこと。外壁をサイディングで仕上げることが多い日本の住まいですが、ジョリパットを始めとする塗り壁も人気を集めており、デザイン性にこだわりを持つ方が選択される傾向があります。
ちなみに「ジョリパット」であって、「ジョリパッド」ではありません。豊富なバリエーションがあり、ジョリパットと聞けば“外壁塗装”のイメージが強いですが、内壁に使用できるものもあります。では、ジョリパットのメリット・デメリットを見ていきましょう。
ジョリパットのメリットその1:デザイン性が高い
ジョリパットには、180以上のカラー、100以上のデザインが用意されており、意匠性にこだわりを持つ方々にとって強い味方となってくれます。サイディングにはない塗り壁特有の質感が得られ、住まいに個性を与えてくれます。
線を引いたような「ボーダー」(櫛引き)、粗いザラザラしたような質感の「スクラッチ」、職人が手作業で模様をつける「ラフ」(コテ仕上げ)、仕上げにジョリパットを吹き付ける「スプレー」、複雑な模様をローラーで再現する「ローラー」によって、質感に変化をもたらすことができます。
ジョリパットのメリットその2:耐久性が高い
ジョリパットの耐用年数は15~20年と言われています。塗装仕上げで人気の「シリコン塗装」の耐用年数が10~15年ですので、ジョリパットの耐用年数は長いと言えると思います。耐用年数が特に高いとされる「フッ素塗料」とほぼ同じ年数です。
色褪せがしにくい「耐候性」、汚れが付きにくい「低汚染性」、不燃材料認定取得の「不燃性」に優れており、ホルムアルデヒドの放散量が最も少ない「F☆☆☆☆」等級も取得。さらにホルムアルデヒドの吸着・分解や調湿性能、消臭・抗菌効果を付与した製品もラインナップされています。
ジョリパットのデメリットその1:クラックが入りやすい
ジョリパット自体は弾性力があるため割れにくいのですが、下地のモルタルやセメントにクラックが入ると、ジョリパットも引っ張られ、割れてしまいます。地震などによって建物に揺れが起こると、そういった現象が現れやすくなります。
ジョリパットのデメリットその2:汚れやすい
汚れが付きにくい「低汚染性」を有するジョリパットですが、表面に凹凸があるため、汚れが貯まりやすい傾向があります。平坦な仕上がりのものなら、そこまで汚れは気にならないかも知れません。デザイン性にこだわる方は、汚れやカビのケアをしっかりと行いましょう。
ジョリパットのデメリットその3:コストが高くなりがち
ジョリパットは、職人による手作業が発生します。よってその分、コストはアップします。1㎡あたりの設計価格(メーカー公表)は以下の通りです。
- ボーダー/3800円~5000円
- スクラッチ/3800円~5500円
- ラフ/4000円~5000円(模様によってさらに高くなる)
- スプレー/3300円~4000円
- ローラー/3800円~5200円
ジョリパットのデメリットその4:職人の技量に左右される
工場で生産するサイディングとは違って、職人による手仕事が発生しますから、どうしても技量差によって仕上がり具合が異なってきます。特にラフ仕上げのような場合、「イメージと違う!」などといったことになる可能性もありますので、経験豊富な職人を希望し、塗りパターンを確認するなどの十分なケアをおススメします。
まとめ
ジョリパットにする場合、おおよその計算ですが、30坪ほどの家で70万円~150万円が相場です。もちろんデザイン性にこだわれば、さらにコストはアップします。
メンテナンス面で見てみると、15~20年に一度、外壁の上からジョリパット専用の塗料を用い、外壁の風合いを保ったまま維持する方法、または既存のジョリパットを剥がし、新しくジョリパットを塗り直す方法があります。それぞれ30坪程度の住まいで、60万円以上、80万円以上の費用がかかると考えておいてください。