少しでも広々とした居室空間を実現したいものの、そこには土地それぞれの建ぺい率や容積率と言った制約が存在します。そこで検討したいのが「地下室」です。実は1994年の建築基準法の一部改正によって、一定条件を満たした場合、地階(床が地盤面の下にある階)の床面積を容積率に算入しなくてもよいことになりました。結果、同じ建坪の2階建ての1.5倍の広さまで建築可能になったのです(合計床面積の3分の1を限度)。
限られた敷地面積、容積率などの条件がある都市部で特に有効
容積率については、『エンピツのような家しか建てられない?「容積率」について』に詳しく書かれていますので、ぜひおさらいしてください。
今回の地下室の容積率を解説すると、たとえば土地面積が100㎡で容積率が80%の土地の場合、2階建てだと1階が40㎡、2階が40㎡の合計80㎡の家となります。
これが地下室付きだと、さらに地下室部分の40㎡を加えることができ、合計120㎡の家が建てられることになるのです。このように限られた敷地を有効活用するには、地下室は打ってつけというわけです。地下室は耐震・耐久性が高く、防音・遮音性に優れていることから、音楽室などさまざまな用途に使えるというメリットもあります。
地下室の容積率緩和を受けるための条件は、以下の通り
- 地階であること
- 地盤面から地階の天井が1m以下であること
- 住宅として使われること
天井部分が地盤面から1mを超えていなければ要件を満たしますので、半地下になっている空間も地階となります。
また、住宅として使用されることが条件となっていますので、地下室をつくって店舗や事務所を併用する場合、容積率は住宅として使う部分の3分の1までの緩和が受けられます。
まとめ
- 地下室は容積率の緩和が受けられ、2階建ての1.5倍の広さが確保できる(一定条件あり)
- 緩和条件は「地階であること」「地盤面から地階の天井が1m以下であること」「住宅として使われること」
なお、地下室がつくれない土地もあることを理解しておきましょう。
- 地面を掘ると地下水が湧き、施工や建物に影響が出る地域
- 新しく道路ができる計画がある土地
地下室を計画する際は、地下室プラン・施工に実績の高い建築会社を選ぶといいでしょう。ぜひ相談に乗ってもらってください。