【レンガ造りの家】耐震性は? 価格は? そんな疑問にお答えします

レンガ

重厚感があって、おしゃれで、存在感抜群。そんなレンガ造りの家に憧れる人も多いことでしょう。とはいっても「レンガ造りって地震に弱くないの?」「レンガ造りの家の費用は高いのでは?」といった不安や疑問を抱く方も少なくないようです。今回は、そんなお悩みを解決する情報や答えを用意しました。


耐久性、断熱性、保温性、耐火性が高く、メンテナンスもフリー

まず、レンガについて学んでいきましょう。レンガとは、粘土や堆積岩の一種である頁岩、泥などを型に入れ、窯で焼き固めたり、圧縮して成型した建築材料のことを言います。一般的には茶褐色で、焼きムラもあって一つひとつの表情が微妙に異なり、それが独特の風合いを醸し出します。

レンガは耐久性が高く、断熱性、保温性、耐火性にも優れた建築材料です。変質もほぼ無く、基本的にメンテナンスも不要です。月日が経つごとに深まる味わいは、汚れではなく、歴史が刻む美しさ。そういった価値を理解する方にとっては、最高の建材の一つと言えるでしょう。

“エピソード”
レンガの家と言えば、イギリスの街並みを思い浮かべる人も多いことでしょう。そんなイギリスに素敵なエピソードが残されています。レンガ造りの建物の汚れが目立ってきたと考えた市当局は、外壁を清掃する計画を発表します。すると市民から「それは汚れではなく、建物の重厚さを表すもの。清掃はすべきではない」という声が多数寄せられ、清掃計画は立ち消えとなったそうです。


レンガを構造体に化粧積みすることで、地震に強い住まいに

では、地震に対してはどうなのでしょう。それを解説するにあたり、日本におけるレンガ造りの建築物の歴史を辿りたいと思います。日本でレンガ造りの建物が盛んに建てられるようになったのは明治維新以降。西欧文明を採り入れるため、政府主導で官公庁や警察、兵営などがレンガ造りで建てられていきます。

ところが悲しいことに大正12年の関東大震災によって、多くのレンガ造りの建物が倒壊します。そのことから「レンガ造りは地震に弱い」というイメージが定着。日本でのレンガ造りの建物は、限られたものとなってしまいました。

しかし、近年ではレンガ造りの住まいでも、耐震性をしっかりと担保したものが出てきています。レンガ造りといえばレンガを積み上げる構造(組積造)が一般的で、この場合、材料の重量が重いため、十分な補強が必要となります。でも、2階建てや平屋だと特別な補強は必要ない構造もあるのです。

カナダのトロントやオタワなどではレンガ造りの家が多く見られますが、これは2×4工法の外壁部分にレンガを「化粧積み」したものです。この構造なら、構造体に支持されているため、地震の多い地域、もちろん日本でも安全性が高いとされています。レンガ造りの家は、決して地震に弱くはないのです。実際にこういった工法を用いてレンガ造りの家を施工する建築会社も多く存在します。また、レンガそのものを薄くスライスすることで重量を軽減し、耐震性を高める工法などもあります。

“トピックス”
木でつくられた2×4工法の外壁にレンガを化粧積みすることによって、外壁の間に空気層が生まれ、断熱性能が高まります。寒さの厳しい北米で発達した工法で、より快適な住環境をもたらしてくれます。この2×4工法の外壁部分にレンガを化粧積みしたものを、北米ではブリックベニアと呼んでいます。


費用は坪単価70万円~が一般的。工期も長めになりがち

気になる費用ですが、建築資材費、レンガ積みの手間などからコストは高くなりがちです。工期も長くなるため、その分のコストもかさみます。一般的に坪単価は70万円~と言われており、家の大きさにもよりますが、レンガ積みの外壁工事だけで300万円~500万円ほどの追加となるケースが多いようです。もちろん建築会社や用いる資材の差異によって価格は前後しますが、それなりの予算がかかることは覚悟しておきましょう。

それでもレンガの風合いに憧れをいだき、なんとか実現したいと考える方には、レンガタイルを張るという方法もあります。これならレンガ積みとくらべてコストは抑えられます。とはいえサイディングと比べて価格は高くなりますので、そこは注意しましょう。


まとめ

レンガ造りの家は、

  • 耐久性、断熱性、保温性、耐火性が高く、メンテナンスもフリー
  • レンガ造りの家は、決して耐震性が低いわけではない
  • 費用は高くなりがち

レンガ造りの家はメンテナンスフリーですし、中には「100年住宅」を謳う建築会社もあります。そう考えると次の世代に受け継いでいき、長く暮らし続けたいというご家族にとっては、トータルコストでメリットのほうが上回るかも知れません。レンガ造りの家を検討する際は、ずっと先の将来も見据えて考えることをおススメします。