【風通し・コロナ対策】風通しのいい家をつくるポイントと注意点

風が抜けるリビング

新しく家づくりを計画される際の人気の要望のひとつに、「風通しのいい家をつくりたい!」というものがあります。自然の風を感じる暮らしはとても心地よいものですし、逆に考えると、風通しの悪い家は心地よくないばかりか、時にはカビの発生原因となるなど、健康的に暮らすという面でもマイナスです。

昨今のコロナ禍においては、感染予防の観点から「部屋の換気」が推奨されています。家の中の空気を入れ替えようと思っても、風通しの悪い家だと空気がよどみ、効率のいい換気ができません。

「風通しのいい家なんて、窓をたくさん設置すればいいだけでしょ?」。そう考えているあなた! それでは満足度の高い家づくりに“危険信号”が灯ってしまいます! では、どのような設計をすれば“風通しがよく”、“満足度の高い家”になるのでしょうか。以下に「風通しのいい家をつくる2つのポイント&5つの注意点」を示しますので、ぜひ参考にしてください。


風の動きの基本を知る!「南→北」「低→高」を巧みに生かした設計に

風が通るリビング

風通しのいい家をつくるためには、まず“風の動きの2つの基本”を知っておくことが大切です。その基本のまずひとつ目は、日本の多くの場合、一般的に春から秋の“風通しが必要な時期”には、風は“南から北”へ吹くということです。

風は南から北へ吹く

風は気圧の高いところから低いところに向かって吹きますから、夏場に「太平洋高気圧が…」という天気予報をよく耳にすることがあるように、あの気圧配置が南から北への風を生み出すのです。もちろん地域や周辺環境によって風向きは異なるでしょうが、風通しのいい家をつくるためには、この基本を家づくりに生かすことが大切となります。

温かい空気は上昇する

もうひとつの基本は、“温かい空気は上昇する”ということです。夏場、「1階は涼しいのに2階に上がると暑い!」と感じたり、冬に暖房をつけていると「頭はぼーっとするくらい暖かいのに、足元は寒い!」という経験をお持ちの方も少なくないでしょう。その理由が、温かい空気の上昇(上昇気流)というわけです。この空気の特性もしっかりと頭に入れておく必要があります。


風が通り抜ける快適な空間をつくる2つのポイント

風が通る間取り

風の動きの2つの基本が理解できたところで、では具体的に“風が通り抜ける快適な空間をつくるポイント”を見ていきましょう。これも大きく2つあります。ひとつは、

「南北に吹く風の通り道」をつくること

つまり南北に窓を設けるということです。しかし敷地条件や建物配置、住宅密集地などの都合上、どうしても南北に窓を設けられない場合も考えられます。そんな時は、異なる方角に1か所ずつは窓を設けてください。南西でも、東西でも、とにかく“風の通り道(家の外から入り、中を通って、また外に抜けていく流れ)”をつくるのです。 風が吹く方角が違っても、ウインドキャッチ窓(建物外壁を伝う自然の風を活用して室内を効率的に換気する窓)を採用するなどすれば、外の空気(風)を室内に取り込むことが出来ますので、窓のタイプを目的に応じて選ぶことも大切です。

そしてもうひとつが、

「低い位置と高い位置に窓を設ける」こと

もう少し、分かりやすい表現をするならば、「1階の窓+2階の天井に近い高い位置にも窓を設ける」ということです。1階から入ってきた心地いい風は、1階の人が多い生活空間で温められ2階へと昇ります。空気がそこでこもると快適さが損なわれますので、空気が抜ける窓を設けるわけです。すると風がやさしく通り抜ける空間になるのです。もちろんこの場合、吹き抜け空間であることが理想です。2階へ抜ける空間が階段スペースだけなら効果は限定的になりますし、窓を設けたリビングと階段スペースがそれぞれ独立していて、さらに扉を閉じている状態なら当然風は抜けませんので注意してください。


通風優先で落とし穴にはまらないための5つの注意点とアイデア

だからといってたくさん窓を設ければいい、という話ではありません。窓は外との境界線。ですから以下のように注意すべき点がいくつかあります。それでは注意点と、その対策・アイデアも一緒にお伝えしましょう。

防犯面を十分に考慮する

塀の近くにある窓は死角になりやすく、空き巣に狙われやすいもの。対策としては、「死角となるところに窓は設けない」「二重窓にする」「侵入できない小さな窓を採用する」「外側に面格子をつける」などが考えられます。

プライバシーを配慮する

隣家の窓の位置や自宅との距離、通りからの視線などをしっかりとチェックしましょう。隣の人と目が合って気まずくなり、ずっとシャッターを閉めっぱなしとか、開け放てないという失敗談をよく耳にします。少し位置をずらしたり、高低を変えるだけで随分とストレスは軽減します。またカーテンはもちろん、屋外に植栽を施して適度な目隠しをするなども効果的です。

目的・求める効果を考え、窓を選ぶ

「南北に吹く風の通り道」でもお伝えしましたが、窓はデザイン性だけではなく、その性能や効果を考え、適材適所で設ける必要があります。すべり出し窓のように外側にすべらせて開ける窓の場合、隣家との距離をしっかりと考えておかないと、「全開放できない、しにくい」などの問題が生じる場合もあります。

「低い位置と高い位置に窓を設ける」では、1階の床に接した“地窓”を採用するのもひとつのアイデアです。地窓なら隣家の視線を気にすることはほぼないでしょうし、地面に近いため涼しい風が取り込めます。

“高窓”を設ける場合は、メンテナンス面もきちんと考慮しておきましょう。高い位置の窓は当然ながら掃除がしにくいですし、手動で開閉するのも手間がかかります。全体的にいえることですが、窓を計画する際は「ここに、このタイプの窓があれば、生活はどうなるのか」を想像し、プランニングすることが重要です。

家具の置き場所も考えておく

家具は、壁付けするように配置することが多いもの。せっかく窓を設けても、後からそこに家具を置くようであればまったく意味がありません。また、家具も直射日光などで傷みが早くなってしまいます。窓を計画する際は、家具を置く位置も併せて考えましょう。

耐震性・断熱性も頭に入れる

窓が多くなればなるほど、耐震性や断熱性に影響を与えることも頭に入れておきましょう。現在のハウスメーカーの構造であれば、まず問題はありませんし、断熱性の高い窓も存在しますからあまりナーバスになる必要はないかも知れません。でも、壁は家の強度にとって、快適な暮らしにとってとても大切な要素。適切なバランスは、ぜひパートナーとなる住宅会社としっかりと相談の上、決定してください。


まとめ

風通しのいい家をつくるためには、窓が大きなキーワードになりますが、その他にも注意しなければならないことがお分かりいただけたことでしょう。計画の際には前述の通り、「ここに窓があれば、生活はどうなるのか」を想像しながら進めることが大切です。風通しがよく、心地よく暮らすためのまとめとしては、

  • 風(空気)の動きの基本を知る
  • 2つの方角に窓を設ける
  • 2階にも風が抜ける窓を設ける
  • 防犯面を十分に考慮する
  • プライバシーを配慮する
  • 目的・求める効果を考え、窓を選ぶ
  • 家具の置き場も考えておく
  • 耐震性・断熱性も頭に入れる

これらポイント&注意点・アイデアを十分に考慮すれば、あなたも風通しのいい家、快適な暮らしが手にできます。