【最新研究】未来の暮らしを創造するミサワホームの最新プロジェクト

ミサワホーム 沖縄 スマートハウス

今、「スマートハウス」が注目を集めています。スマートハウスとは、設備機器や家電を住まいと連携させ、最適制御することにより、快適な暮らしを創造する家のこと。その誕生は、1980年代にアメリカで提唱された概念だそうです。その後、技術の進化によりさまざまな名称で呼ばれてきたスマートハウスですが、今では「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」を「HEMS(※)」でコントロールする住まいをスマートハウスと呼んでいます。そして今もなお、住まいは最新の研究がなされ、未来の暮らしの在り方が模索されています。そんな最先端の取り組みをご紹介しましょう。

※「HEMS」とは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略称。家庭で使用するエネルギーを最適化するための管理システムです。家電や設備とつなぎ、電気やガスなどの使用量をモニター画面などで“見える化”したり、家電を“自動制御”することで、「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」をサポートし、暮らしの快適性・利便性を高めます。政府は2030年までに、すべての住まいにHEMSを設置することを目指しています。


常に次代のニーズを予測し、研究を繰り返してきた歴史

ミサワホームでは、1970年代より太陽光による創エネシステムの研究開発を進めてきました。1998年には世界初のゼロ・エネルギー住宅「HYBRID-Z」を発表し、1999年には木質系ゼロ・エネルギー住宅「ミサワホームZ」を、2010年には太陽光にプラスして、太陽熱も活用することでCO2をトータルでマイナスするコンセプトモデル「ECO Flagship Model」を開発。それら技術は家づくりに活かされ、快適な暮らしをしっかりとサポートしてくれています。

ECO Flagship Model
ECO Flagship Model

そんなミサワホームが、現在、未来の暮らしを創造するために取り組んでいるユニークなプロジェクトをご紹介したいと思います。それは「持続可能なインフラフリーの住まいを実現させるための実証実験」。沖縄科学技術大学大学院とミサワホーム総合研究所の共同プロジェクトです。もう少し分かりやすく実験内容をお伝えすると、電気や水などのインフラが整備されていない場所(蒸暑地域)でも、自ら発電や水の供給を行うことで快適な暮らしができる住環境を実現しようというもの。電気は太陽光での発電など想像はつきますが、「水をどうやって?」と思う方も多いことでしょう。では、その具体的な内容をお伝えしていきます。


電気はもちろん、水も自ら創り出すという先進的チャレンジ

ミサワホーム 沖縄 実験
沖縄県恩納村に建つ実験棟

沖縄県恩納村に建つ実験棟では、太陽光発電システム(88枚 最大出力7kW)と風力発電機(2機 各1kW)で発電した電力を直流(DC)のまま蓄電し、家庭内で使用する給電システムを検証。各住戸同士がエネルギーを融通できる電力網の検討も行っています。その他、住まいの新たな可能性へのチャレンジも実施。たとえば「中温冷水壁・天井放射冷房」は、水を壁に流して壁全体を冷やすことで室内を放射冷房するという新しい技術です。従来のエアコンが抱えていた「カビ臭さ」「気流による不快感」「埃の巻き上げ」の解決の他、省エネ効果への期待も高まっているそうです。

これまで壁に冷水を流すと結露を誘発するという欠点がありましたが、ミサワホーム独自のシステム「カスケードソーラーデシカント」によって解決。太陽電池が発電時に生みだす熱エネルギーを蓄熱槽に蓄え、室内を除湿するシステムに有効利用されるのだそう。カスケードソーラーデシカントで安定的に除湿されることで、「中温冷水壁・天井放射冷房」は実現可能となったのです。

こうやって自らつくったエネルギー(創エネ)を、自らで消費する「エネルギーの自給自足・地産地消」は、電気に限ったことではありません。先ほども少し触れましたが、水も地産地消になる可能性を秘めているのです。

実験棟では、雨水の活用はもちろんのこと、室内を除湿した水分をシャワーやトイレ用水などに利用する「循環型水利用システム」の在り方も検討中。さらには建物内の空気中から水をつくる実験も、2017年よりスタートさせているというから驚きです。

つくり出せる量は湿度によっても異なりますが、100㎡の床面積で1日最大50リットル。一般家庭での1日の使用量には足りませんが、空気からつくり出す水の清浄度は高く、雨水を浄化した水は風呂やトイレに用い、空気からの水は調理用にするなど使い分けをすれば、現実的な可能性も見えてくると言われています。

安心して飲めるようにする手順の開発や設備の小型化など課題はまだまだ大きいですが、自然災害国である日本においては、実現させたい技術のひとつと言えるでしょう。ライフラインが停止しても自給自足できる家は、IoT技術をまとうスマートハウスにとって必要不可欠なものではないでしょうか。


電気自動車は、これからの暮らしの必需品?

この実験棟では、電気自動車(EV)の有効活用の検証も進んでいます。電気自動車はそれ自体が蓄電池になり、電気を充電したり、必要なときに取り出して使用するなど、これからのスマートハウス、特にVehicle to Homeと呼ばれるクルマを活用した快適な暮らしにおいて大きな役目を担うとされています。プロジェクトでは、それをさらに利便性や地域との連携を考えた研究を進めています。

太陽光発電システムと風力発電機でつくり出された再生可能エネルギーを、電気自動車用バッテリー(容量1.5kW)に充電できる設備を設置。EVを昼間に使用しているときでも、留守中に交換用バッテリーを充電しておくことで使いたいときにクルマに搭載でき、充電ステーションでの待機時間を省力することも可能になります。また、交換式バッテリーは、コミュニティ内の電力としても活用することができるので、電力脆弱地域や無電力化地域の電力事情改善にも役立つともに、災害時の停電対策にも大きな効果をもたらしてくれます。

ミサワホーム 電気自動車
サステナブル実験棟には、電気自動車(EV)用バッテリー充電システム「スワップステーション」を設置。マイクログリッドシステムの確立を目指す

まとめ

いかがでしたか。電気はもとより、水まで自給自足するなんて夢のような話ですね。しかも空気中から取り出すなんて! 「湯水のように使う」という言葉があるように、日本では水があるのが当たり前ですが、災害時に断水したニュースなどを見ると、こういった技術研究は「もしも」の時のためにも大切な取り組みと言えるのではないでしょうか。ミサワホームの研究成果に、これからも注目・期待していきたいと思います。