快適な家をつくるなら「空気環境」に注目!

快適な家の必要条件って、何? 暮らしやすい間取りや便利な設備機器、好みに合ったインテリアetc.…はもちろんですが、目に見えない大切なものがあります。それが「空気環境」です。夏涼しく冬は暖かい。つねに爽やかで心地よい空気に満たされている。そんな家をつくるために知っておきたいことを、聞いてみました。

セキスイハイム 林 哲也さん
以前は、自社研究所で技術系の仕事に携わる。「現在は商品開発部で、社内向けに商品情報や知識を伝える役割を担っています。社外の研究会に出るときには、技術者の顔に戻ります」

パナソニック ホームズ 鎌田 剣さん
戸建住宅の商品企画・開発を長年担当。「今は、商品のよさをお客様に伝えてもらうべく、社内向けに商品知識・商品情報の勉強会などを企画。さらに、お客様の声を商品づくりにフィードバックしています」

三井ホーム 南雲 隆博さん
広告宣伝を担当するブランドマネジメントグループで、主にウェブ系の業務に携わる。「Webを通じて三井ホームをお客様に知っていただくための、さまざまな役割を担っています」

冷暖房だけじゃない、空調のはなし

住まいの空調と聞いて、すぐに思い浮かぶのはエアコン=冷暖房かもしれません。でも、広い意味で“「空気環境」”を整えるためには、温度の調節だけでは不十分です。快適な「空気環境」のためには、換気や空気清浄(ホコリや花粉の除去)、調湿(湿度のコントロール)なども欠かせません。心地よい温度と湿度、爽やかで清浄な空気など、いくつもの要素が満たされて初めて“快適な「空気環境」の家”といえるのですね。ハウスメーカー各社も、「空気環境」を重視した商品提案や設計を行っています。

「空気環境」のいい家に住むと、こんないいことがある

夏の暑さも冬の寒さも関係なく、一年中心地よく過ごせる。家中が、いつもきれいな空気に満たされている――想像するだけで、家で過ごす時間が快適に、楽しくなりそうです。「空気環境」のいい家に住むと、快適さ以外にどのようなメリットがあるのでしょうか。

セキスイハイムの林さんからは、健康面でのメリットの話が。「たとえば、居室と廊下の温度差が少ないことで、夜中にトイレに起きた時などヒートショックの危険が少なくなります」。また、熱帯夜でも熟睡できる、冷え症が改善された、ホコリが減ってアレルギーの症状が緩和されたなどの声も聞かれるとか。

「昔は“外のキレイな空気を入れましょう”と言っていましたが、今は花粉、排気ガス、PM2.5など空気の汚染が問題に。“外の空気をむやみに家に入れてはいけない”時代になってしまいました。その点をクリアして、家の中を常にきれいな空気で満たせるという安心感は、大きいと思います」とパナソニック ホームズの鎌田さん

家の中にホコリが少なくなる=掃除がラクになる、という声も多いです」と三井ホームの南雲さん。「外部からのホコリ、チリはもちろん、花粉やカビの胞子、ダニの死骸などの微粒子を除去するフィルターを通しているので、掃除機のパック交換の回数が減り“それだけ室内の空気がきれいなことを実感した”というお客様の声も届いています」。

「空気環境」を整えることは、単に心地よいというだけでなく、健康や生活の質の向上にもつながることがわかります。家を建てるときには、空調のことをきちんと考え、提案してくれる会社を選ぶ必要がありそうです。

また、最近は、吹抜けやリビング階段、大きな窓、間仕切りの少ない大空間などのプランを希望する人が増えています。このようにオープンな間取りの場合、冷暖房の効きが悪かったり、2階と1階に温度差ができてしまうことも。室内に温度差をつくらず、どこでも快適に過ごせるようにするためには、高気密・高断熱な建物に加えて、トータルな空調計画が必要不可欠です。逆にいえば、空調計画がきちんとなされた家なら、間取りの自由度がぐんと広がるということです。

高気密・高断熱の家に、換気計画は欠かせない

現代の家は、高気密・高断熱がスタンダード。室内の温度を逃がさず、室外の暑さや寒さを遮断する省エネルギー住宅で、効率のいい冷暖房が可能です。

室内の熱エネルギーの5割近くは、開口部から逃げていきます。中でも、窓からの熱損失が大きいのです」とパナソニック ホームズの鎌田さん。「たとえば、窓を介して、夏は日射熱で室内の温度が上がり、冬は冷たい外気で室内の暖かい熱が奪われてしまいます。サッシやガラスは、断熱性能の高いものを選ぶことがポイントになります」。

セキスイハイムの林さんによれば「床下や壁、天井には高性能な断熱材をすき間なく充填することが大事ですね。また、気密性能が悪いとすきま風が入り込み、断熱材の効果が下がります。気密工事をしっかり行うことも欠かせません」。

高気密・高断熱の建物に必要不可欠なのが、計画的な換気です。「昔の家はあちこちに隙間があり、自然換気が行われていましたが、今の家は密閉空間ですから、計画的な換気を行わないと家の中の空気が汚れたままになってしまいます」と三井ホームの南雲さん。ちなみに建築基準法では、居室の換気量は1時間0.5回以上と規定されています。つまり、2時間で部屋の空気がまるごと入れ換わる必要があるということです。

現代の家の空調計画には、冷暖房だけでなく、換気のコントロールが不可欠なのです。

「空気環境」を整えるための、さまざまな方法

最後に、今回取材したハウスメーカーの「空気環境」のあり方について聞いてみました。 「冷・暖房、除湿・加湿、換気、空気清浄、脱臭機能をもつトータル空調システムで家中を快適な空間にすることをご提案しています」と語るのは、三井ホームの南雲さん。「吹抜け、ロフトがあっても、一年中ちょうどいい温度・湿度に保たれるようになっています。ホコリや花粉、いやなニオイも除去する高性能フィルターを通しているので、人だけでなくペットを含めた家族の健康を守ります」。生活パターンに合わせてスケジュール運転することで、省エネにつなげているそうです。

「冷暖房・除湿システムと高性能フィルターを設置した換気システムで、家中の空気環境を整えています」とセキスイハイムの林さん。冷暖房・除湿システムは全館だけでなく、フロア単位での設置も可能だそう。各部屋ごとのオン・オフや温度設定もでき、間取りや生活スタイルに合わせたシステム構成や使いかたができるそうです。他メーカーにおいても、全館冷暖房・換気を行う方式が多く、換気は冷暖房のロスを少なくする熱交換型が一般的です。

一方、パナソニック ホームズの鎌田さんは「当社は、年間を通じて温度変化の少ない地熱を活用したシステムが特徴です」と語ります。夏涼しく、冬暖かい床下のベース空間から新鮮な空気を取り入れ、室内外の温度差の少ない春や秋は機械換気、冬は自然換気を組み合わせたハイブリッド換気が標準仕様。必要に応じて冷暖房用エアコンを併用します。「花粉やホコリはベース空間を通過する間に自然沈下して、室内に届けるときはきれいな空気になっています」。また、調湿機能の高い自然素材を用いた建材で、家中の調湿を行っているそうです。

いずれのメーカーも、春や秋などの気候のいい時期は、花粉や周辺環境からの悪影響がない限り、窓を開けて外の空気を入れることをすすめています。

また、機械に頼り切るのではなく、設計面での工夫も欠かせません。庇や樹木で夏の直射日光を遮る、窓の位置や間取りの工夫で風通しのいい家にするなど、プラン面からのアプローチも大切です。

空調計画は、単独で成り立つものではありません。建物自体の性能、システム、間取りなどトータルな提案が大切だということですね。

まとめ

ポイント!こんな見方をしてみよう

  • 「空気環境」について、どのようなことを重視しているのか、聞いてみよう
  • 建物の断熱・気密性能や、空調システムについて聞いてみよう
  • 間取りなどを含め、トータルな提案をしてくれるかチェックしよう