
どんなに頑丈な家を建てたとしても、おおもとの地盤が軟弱だったら、建物は傾いてしまいますね。家づくりのプロセスに、地盤調査は欠かせないものです。今回は、地盤調査の内容と、地盤に問題があった時の対処方法についてお話しましょう。
目次
基礎の仕様を決めるため『地盤調査』を行う
建築基準法施工令には、あらかじめ定められた方法で地盤調査を行い、基礎を設計しなければならないことが明記されています。つまり、正しく調査をして強度を調べた上で基礎の仕様を決め、家を建てるという流れになります。建て替えの場合「今の家が大丈夫だから、調べなくても問題ない」と考える人もいるようですが、新しく建てる家は重さも形も異なります。家づくりには地盤調査は必須と心得ましょう。
土地の成り立ちや現地の様子を見る
まずは、事前調査として地形図、土地条件図などの資料を確認します。これにより、大まかな地盤の強度が推測できます。また、現地に行き、敷地や既存の建物(建て替えの場合)、周辺の様子を確認します。建築地と隣地や道路との高低差、既存建物や周辺建物の基礎や外壁、周辺道路の状況などを見ます。たとえば、建物の基礎や外壁にヒビがある場合は、不同沈下の可能性ありと判断できます。
不同沈下とは、建物が不揃いに沈下を起こすこと。建物が一方に沈むために、柱や床が傾いて建物が歪み、ひび割れなどを起こします
機械を用いて、地盤の強さを調べる
本調査として、機械調査を行います。一戸建てを建てる場合は、一般的に「スウェーデン式サウンディング試験」という手法を用います。敷地の広さにもよりますが、だいたい3~5ヵ所を調査します。ロッド(先端がスクリュー状になっている棒)の頭部に重さを加え、回転させながら地中に貫入して地盤の地耐力を調べます。
地耐力とは、地盤がどのくらいの荷重に耐えられるか、また、地盤の沈下に対して抵抗力がどのくらいあるかを示す指標のこと
地盤に問題があったときは『地盤改良』を行う
地盤調査の結果、軟弱地盤と判明した場合、地盤改良工事を行います。地盤改良には主に次の3種類があります。
いずれの方法も、地中にある強固な地盤に建物の重さを伝え、支えてもらうことで建物の沈下を防ぐしくみになっています。費用もかかりますから、予算枠をしっかり確保することが大事です。
1.表層改良工法
軟弱地盤が浅い場合は、土を掘削してセメント系の固化剤を混ぜて、しっかりと重みをかけながら埋め戻し、強固な地盤を人工的に造ることで支持力を高めます。
2.柱状地盤改良
軟弱地盤が深い場合は、セメント系の固化剤と土を混ぜ合わせながら土の中にコンクリートの柱を造り、下にある強固な地盤に建物の重さを伝えることで支持力を高めます。
3.杭状地盤改良
軟弱地盤がさらに深い場合は、土の中に鋼管杭を打ち込み、下にある強固な地盤に建物の重さを伝えることで支持力を高めます。
まとめ
地盤調査の結果を分析し、その地盤に合った工事を行うには、高度な技術や数多くの経験が必要です。地盤調査を依頼する際には、施工棟数が多く、データベースの豊富な会社に依頼すると安心でしょう。