プロが教える!家づくりの「諸費用」について知ろう

家の諸費用

家づくりにかかるお金は、工事費だけではありません。住宅ローン関連の費用や各種税金、地鎮祭や引っ越し代など、いわゆる「諸費用」と呼ばれるお金も必要です。家を建てる際は工事費ばかりに目が行きがちですが、諸費用の予算も確保しておかないと、後であわてることになりかねません。今回は、諸費用の詳しい項目についてお話ししましょう。

 *必ずかかる費用
 *場合によりかかる費用
 *選択によりかかる費用


各種申請にかかる諸費用

建築確認申請料

家を建てる際には、建物が建築基準法などの関連法規に違反していないかを確認する「建築確認申請」が必要です。建築確認申請料は、確認申請に必要な図面の作成および代行を行う費用です。住宅の規模や構造、自治体によって金額は異なります。

住宅性能評価関連費用

家の品質を第三者機関が評価する「住宅性能評価」を取得するための費用です。

長期優良住宅認定関連費用

次世代に住み継げる住宅として「長期優良住宅」の認定を受けるための費用です。

建築確認申請」は必須ですが、住宅性能評価長期優良住宅の認定は任意です。大手ハウスメーカーの建てる家であれば、認定基準は満たしていると考えてよいでしょう。申請には万単位の費用がかかりますが、評価や認定を受けることで、住宅ローンの金利や地震保険、税金面などで優遇措置を受けられます。また、品質の高さの客観的な証明になりますから、資産価値のアップにもつながります。 このほかに、家を建てる土地が埋蔵文化財包蔵地に指定されている場合は、文化財保護法に基づく届出・申請が義務付けられており、それに伴う費用が発生します。


住宅ローンの借り入れに関わる諸費用

印紙税

住宅ローンを借りる際「金銭消費貸借契約書」を金融機関と結びます。この際に納める税金が「印紙税」です。契約書1通ごとに収入印紙を貼り、印鑑で消印することで印紙税を納めたことになります。印紙代は契約金額により異なり、1,000万円超5,000万円以下の場合で2万円です。

融資事務手数料

融資を受ける金融機関に支払う事務手続の手数料。金融機関によっては不要な場合も。

抵当権設定登記費用

住宅ローンを借り入れて抵当権設定を登記する際、登記印紙で法務局に納める費用で、借り入れ額の0.1%~0.4%。同時に、司法書士に支払う手数料も発生します。

住宅ローン保証料

万一返済が不可能となった場合に備えて、連帯保証人の代わりに信用保証会社に保証してもらうための費用。信用保証会社により異なりますが、数十万円の金額になるため負担が大きいものです。初めに一括払いをする方法と、金利に上乗せする方法の2つから選択します。なお、フラット35のように保証料が不要なローンもあります。

団体信用生命保険料(団信)

万一返済の途中で加入者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金で住宅ローンの残額を返済してもらうための保険料。金融機関の多くは団信の加入をローン借り入れの条件としており、保険料は銀行が負担します。 一部の金融機関とフラット35は、団体信用生命保険への加入が任意です。金融機関の保険料は金利に上乗せが一般的ですが、フラット35の場合は年一回支払いを行います。フラット35で期間35年・元利均等返済で1,000万円借入れた場合、初年度の保険料は35,800円です。

火災保険料

火災保険は多くの金融機関で加入が義務づけられています。

地震保険料

地震保険については任意加入としている金融機関が多いです。

フラット35・物件検査手数料

フラット35を利用する場合は、建設する住宅が耐久性などの技術基準に適合しているかどうか検査を受ける必要があります。検査の上、適合していることを証明する適合証明書の交付を受けるための費用です。地域により異なりますが、新築住宅の場合2~3万円台が目安です。

つなぎ融資関連費用

住宅ローンが実行されるまでの間、別のローンを一時的に借り入れるのが「つなぎ融資」です。住宅ローンは住宅に対して抵当権を設定するので、住宅が完成するまで融資が実行されません。しかし、建築会社に対しては工事の進行状況に応じて支払いが発生するため、住宅ローンとは別のローンを一時的に組んで支払いに充てることになります。つなぎ融資の申し込みに際しては印紙税、融資手数料、振込み手数料、利息などがかかります。 なお、ハウスメーカーの提携ローンの場合は、一般的につなぎ融資は不要となります。


各種税金など

印紙税

ハウスメーカーと設計契約や工事請負契約を交わす際に納める税金です。契約書1通ごとに収入印紙を貼り、印鑑で消印することで印紙税を納めたことになります。印紙代は契約金額により異なります。契約金額が1000万円超5000万円以下の場合、1万円となります(平成30年3月31日までの軽減措置)。

登記費用

建物が完成したら、建物の所在地や床面積などを明らかにする「表題登記」と、所有権を明らかにする「保存登記」を行います。「表題登記」自体には費用はかかりませんが、土地家屋調査士への手数料が発生します。また「保存登記」は、固定資産評価額×0.15%(長期優良住宅や認定低炭素住宅は0.1%)※を登記印紙で法務局に納めます。また、司法書士に支払う手数料が発生します。(※平成27年3月31日の登記までの軽減措置。適用条件あり)

また、建て替えの場合は以前住んでいた家の「滅失登記」が必要で、これに関わる費用が発生します。

不動産取得税

土地と建物をそれぞれ取得した際に、都道府県に支払う税金です。取得時1回のみの納入になります(ただし、物件により軽減があり、不要の場合もあります)。

固定資産税・都市計画税

固定資産税とは、土地や建物など不動産を所有している場合に市町村に納める税金。1月1日時点の不動産の所有者に対して課税されます。また、都市計画税とは、都市計画区域として指定されている市街化区域内の土地や家屋の所有者に対して、市区町村(都)が課税する市(区)町村税(都税)のことです。いずれも毎年納入します。


その他の費用

仮住まい費用

建て替えの場合は、仮住まいの家賃のほかに敷金・礼金・仲介手数料が必要になる場合があります。

引っ越し費用

新居に引っ越しをする際の費用。建て替えの場合は、以前の家から仮住まいに移る際と、仮住まいから新居へ移る際の2回分の費用が必要になります。

地鎮祭・上棟式費用

地鎮祭では、神主さんへの謝礼や供物の代金が必要に。また、上棟時(工法によっては上棟という概念がない場合も)に職人へのご祝儀や宴席を設ける場合は、その費用が必要になります。

近隣挨拶費

工事開始前や入居時に、近所に挨拶を行う際の手土産代です。

現場訪問に関わる費用

工事現場への往復の交通費、職人さんへの差し入れ代などです。

家具、家電製品などの購入費用

新居のインテリアや新調する家電製品にかかる費用です。

水道諸費用

新しく水道を引くときには「水道加入金」(または「水道施設負担金」など)と呼ばれる費用を負担しなければならない自治体が多くあります。たいていの場合、水道メーターの口径によって金額が決められます。


まとめ

住宅会社との打ち合わせの際は、「諸費用」についてもきちんと確認したいところ。ただし、項目は会社によって異なるケースが多く、今回挙げた以外の項目(空調設備工事など)を諸費用に含める場合もあります。

また、諸費用の額については、建物の床面積やローンの借り入れ金額などが決まらないと算出できないものも多く、打ち合わせが進んでからでないと正確な金額が出せません。大まかな目安としては、一棟の家を建てる場合、150万円から300万円くらいの諸費用がかかると考えてください。これらは現金で準備する必要がありますので、注意しましょう。

諸費用の中には、税制の優遇や助成があるものもあります。近くの住宅展示場などで、住宅会社の担当者に相談してみることをお勧めします。