家事&子育てが楽しくなる家のつくりかた 【前編】

家事&子育てが楽しくなる家のつくりかた【後編】

子育て世代は、毎日の家事や仕事に大忙し。間取りの工夫で、日々の家事をもっとラクにして、その分家族で過ごす時間が増えたらいいですね。今回は、住宅メーカーで商品開発や商品企画に携わっている女性社員にインタビュー。ご自身の生活実感も織り交ぜつつ、“家事&子育てが楽しくなる家”のつくりかたを聞いてみました。

住友林業 護田 佳子さん
5歳と10歳の男の子を育てるワーキングマザー。「この業種では、子育てしながら仕事をしている女性はまだ少数派。貴重な先駆者の経験を活かして(笑)、商品開発を行っています」

トヨタホーム 小林 みどりさん
5歳の女の子を育てるワーキングマザー。取材当日は名古屋から東京に日帰り出張。「今日のお迎えは夫が担当。普段は会社の時短制度を利用して、17:30まで仕事をしています」

パナソニック ホームズ 朝尾 夏子さん
夫婦共働きで、家事スタイルは夜家事と週末まとめ家事。「“家事楽”をテーマに、子育て主婦モニターへの生活調査を行いながら、家族みんなが心豊かに過ごせるよりよい暮らしを追求しています」

家事の”時短”ができる間取りのつくりかた

最近、ハウスメーカーから提案される間取りには、家事の“時短”に注目したものが増えてきています。プラン次第で、もっと効率よく、無駄なく家事をこなすことができる……子育て世代には、とても嬉しい提案ですね。

皆さんが例に挙げてくれたのは、洗濯動線の効率化。洗濯は『脱ぐ→洗う→干す→取り込む→たたむ→しまう』と作業が多く、しかも終わるまでに時間がかかる家事です。洗濯動線をきちんとイメージしておかないと、無駄な時間や手間がかかる間取りになってしまいます。

浴室を2階に配置することで洗濯動線をぐんと短く

住友林業の護田さんからは、従来1階にあった浴室を2階に配置することで、洗濯動線をぐんと短くできる、というアイデアが。「今までは、1階に浴室、脱衣室、洗濯機があり、濡れた洗濯物を持って階段を上がり、2階のベランダに干すという動線が一般的でした。でも、濡れた衣類は重たいですよね。実際に測ってみたところ、乾いた衣類の1.5倍の重さがありました。そこで考えたのが、浴室を2階にするというプランです」。これなら、脱ぐ→洗う→干す→取り込む、までの一連の作業が短い動線で済みます。たたむ作業は同じく2階のファミリールームで。あとは各自の部屋にしまえば、洗濯に関わる作業がワンフロアで完結します。洗濯物を持って、階段を上下する手間から解放されるというわけです。

“室内干しの経験あり”に応えるプラン

「パナホームにお住まいのお施主様630人にアンケートをしたところ、7割近くの方が“室内干しの経験あり”と回答しました。雨の日や花粉の季節にする方も多いですし、特に私のような共働き世帯には、夜に洗濯せざるをえない方も多くいらっしゃいます。そこで、バルコニーなど洗濯物を外干しする場所の近くにスペースを設け、室内に干したままにしておけたり、洗濯物の取り込みやアイロンがけなどの作業がラクにできるプランを考えました」と、パナソニック ホームズの朝尾さん。畳敷きにすれば、取り込んだ衣類の仮置きも抵抗なくできます。また、目が離せない時期の赤ちゃんのお昼寝を見守りながら、あるいはお子さまをそばで遊ばせながら、洗濯物を干したりたたんだりできるのも嬉しいですね。

室内干し

ワーキングマザーのことを考えたプラン

「子どもが小さいうちは、保育園から持ち帰る服なども含めて、洗濯物の量が半端ではありません。これは私の実感です(笑)。そこで、ワーキングマザーが帰宅後、料理と並行して洗濯も楽に行えるようなプランを考えました」と、トヨタホームの小林さん。キッチンの近くに、洗濯と部屋干しのできるサニタリールームを設置。換気扇をつけて、湿気がこもらない配慮もしておきます。動線の途中には、乾いた衣類をハンガーのままかけられるクロゼットをつくり、服の種類によってはたたむ手間も省けるように。コートや上着をここにかけておけば、朝の身支度もサッとできます。

衣類のしまい場所を個室に限定しない

衣類のしまい場所を、必ずしも個室だけに限定しない――ハウスメーカーからは、そんな提案が増えているようです。「自宅では、洗面所に下着やパジャマの収納を設けています。着替える場所に置いておく、というのが効率的だと考えました」と住友林業の護田さん

「玄関の近くにはサブクロゼットをつくり、コートのほか、子どものランドセルやおけいこどとのバッグなども収納しています。サブクロゼットがなければ、リビングに上着や子どもの持ち物が散乱して“あーもうっ!”ってイライラするはめになっていたでしょうね(笑)」。

「家族みんなで家事」をすることで、もっと効率アップ

もう一つ、効率アップのカギがあります。それは、家事をする人の手を増やすこと。ママだけでなく、家族みんなで家事をすることがポイントです。

誰もがわかる状態にしておくことが大事

「“ママだけが把握している”“ママに聞かないとわからない”という状況をなくして、“家族みんながわかっている”ようなしくみをつくることが大切」と語るのは、トヨタホームの小林さん。たとえば、ゴミの保管方法。種類ごとに分別して、ゴミ出しの日まで保管するために、スペースをきちんと確保する必要があります。キッチンやパントリーなどにゴミの保管場所をつくり、種類ごとに容器やスペースを分けて、誰もがわかる状態にしておくことが大事です。

動線が行き止まらない、回遊型のプラン

「動線が行き止まらない、回遊型のプランが理想的ですね」とは、住友林業の護田さん。たとえば、アイランドキッチンがその好例です。ぐるりと周回できる動線は、人と人がぶつかりにくいので作業効率がよく、複数で何かするにも動きやすいとか。作業がしやすい分、みんなでやろうという気持ちがそがれることが少ないはずです。

住友林業の回遊プラン

家族の誰もが自分で掃除する

パナソニックホームズの朝尾さんからは、掃除用具のしまい場所についてのアイデアが。「掃除用具は、汚れを見つけた人がその場できれいにできるように、家族みんながすぐに使える場所に置いておくことが大切。1階なら、家族が集まるLDKの近くがいいでしょう。また、2階を掃除するとき、わざわざ掃除用具を担いで持って上がるのは大変ですよね。2階の、家族みんなの個室から近い場所に置いておけば、家族の誰もが自分で掃除するようになり、負担がラクになりますよ」。

掃除用具をしまう

まとめ

家事ができる=“生きる術(すべ)”を身につけている、ということ。これからの時代、男女に関わらず、もちろん子どもたちにもしっかりと身につけてほしい“力”ですね。後編では、家族で過ごす時間が増えるプランのヒントを探ります。

家事&子育てが楽しくなる家のつくりかた【後編】